軍事アナリストとして、危機管理のプロとして、実際に政府、地方自治体の危機管理に携わってきた小川さんの警世の書。今こそ必要な書だ。
「狙われる企業、安全な企業」と副題にある。「巨大企業の危機管理についてのコンサルタントをしてきたが、情報が氾濫する一方で、日本企業の危機管理レベルは低いままで推移しており、その立ち後れに警鐘を鳴らし、日本の経済立国を基礎の部分から確かなものにしたい」と考えたからだという。
日本の場合、たしかに「危機管理を語る」だけで、危機意識そのものが、トップを含めてなさすぎる。世界では国も企業もどうしているか、小川さんがコンサルタントをして各組織はどう対応したか。何から始めようとしたか。防災も、私は「危機管理は実務だ。現場だ。リーダーシップだ。日頃からの情報収集、備えだ」と考えてきたが、本書は、世界がより高度化、複雑化しているなかでの危機管理の水準を示している。
「海外緊急事態」「日本の危機管理は形だけ」「社員と家族を脱出させるためのコストは月1000万円」「平時型組織しか知らない日本人」「コンサルタントを活用できているか」「日本も政府も危機管理はCEOにしかできない」「日本に求められるテロ対策」「企業人のための情報活動のイロハ」の8章よりなる。
たしかにこの「笑芸論」は高田さん以外は「誰も書けない」ものだろう。「森繁久彌からビートたけしまで」の戦後「笑芸史」が、紙面からあふれるほど、ものすごいスピードで四方、八方、空間狭しと飛び出している。「私のこの両目は誰よりも沢山の面白い人を見つめてきたし、私のこの両耳は誰よりも多くの笑い声を聞いてきました。その量だけが自慢です。・・・・・・」と結んでいるが、その通り。
笑いが大好きで、今も「エンタの神様」をはじめお笑い番組を録画したりする私だが、テレビ等で観てきたスターたちの生の姿にふれた本書は、きわめて面白かった。この60年を思い出したりもした。また地方から見て、当時の「東京」への感情の核にふれた思いもした。
火山噴火は、台風・水害・土砂災害とも地震とも違う。台風等はタイムラインが通用する。地震は予知できないうえに、瞬時の大災害だ。しかし火山噴火は、予知等はある程度できるが、規模や終結までの期間の判断が難しい。
富士山噴火という大テーマに、高嶋さんが挑んでいる。「美しき山」「異変」「避難」「噴火」「火砕流」「山体崩壊」の6章だてだが、危機は深刻化していく。首長や組織を担っている者が「避難」の決断を下すことがいかに難しいか、火山灰の影響(目をこすらないとか、雨によっての火山泥流)、噴石・火山灰・火砕流のなか、どこへ、いかなる方法で、避難を行うか――まさに陸海空全てに常識を超える国をあげての対応が不可欠となる。
人間形成障害とは「親・家庭・社会などの文化的環境(生育環境)の歪みに由来する心身の適応能力の成熟障害(年齢相応にたくましく成長していない)」と定義される。「脳を進化させた人間の種としての特性」や「経済成長に由来する構造的な育児環境の崩壊」などの要素が複雑に関わっているが、日本の育児環境の劣化がめだつ。「子どものままで大人になれない」という問題に対処するには、習慣の修正と年齢相応のたくましさの充実が目標となる。
「人間形成障害とは何か」「なぜ人間形成障害になるのか」「普遍化する人間形成障害」「わが家でできる人間形成障害の予防法」「治療法」「大人は何をするべきか」等々、わかりやすく、実践的に示してくれている。
「首相談話、歴史認識、領土問題」と副題にある。現在の外交、安全保障の焦点に、直接、端的に、解説を加え、具体的に提言を行なっている。今、できること、やらねばならないことが熟考されている。
前著「日本の領土問題――北方四島、竹島、尖閣諸島」(2012年2月)、「歴史認識を問い直す――靖国、慰安婦、領土問題」(2013年4月)に続いて、今回の「危機の外交」で論点はより鮮明になり、この2年間で、いかに「日中首脳会談」「平和安保法制」「慰安婦問題と徴用工問題、国交正常化50年目の対韓国外交」「ウクライナ危機以後の日ロ関係」など、変化が生じているかを改めて感ずる。
「交渉で一番大切なところに来た時、相手に"51"を譲り、こちらは"49"で満足する気持を持つこと」と祖父・東郷茂徳が言ったということを、母から聞くことから、本書は始まり、歴史問題と領土問題の「非政治化」を解く。外交における「道徳性の深さ」「富国有徳」「文化大国」「世界の中での日本(孤立を回避)」、きわどい時の「人間哲学」の大切さも感じさせる。
