中央集権という後発国的な発展モデルを打破し、新しい「国のかたち」をつくるために、地域主権型道州制を主張する。
前者にある画一的、拘束的、不自由、個性を抑圧して、依存心と甘えを助長するこれまでを打ち破る。そして国、道州、基礎的自治体(15から40万人)の3層でいく。道州で税を徴収して国費分担金として国をまかなう。国民も地域も個人も自らの足で立ち、「自主自立」「自己責任を果たす」「個人の正当な努力が報われる」社会をつくる。地域個性を生み出し、国際社会で生き抜いていく道州拠点をつくる――そういった意欲的主張だ。
たしかに世界は動いている。日本を元気にするために、各車にエンジンのある新幹線型の日本にしないとやっていけない。このまま放置すれば、全国では取り返しのつかない高齢化と元気のない地方ばかりになりかねない。相当の智慧とやる気の人材集団が必要だ。それだけに私は、助走が大事だと思う。
週刊朝日の連載「船橋洋一の世界ブリーフィング」の最終本。その時々の論評、分析を5年後に本にすることは大変なことだ。よほど確かな眼をもっていること、そしてしっかり人に会って取材し、考えを総合化して自らの主張をもつことなしにはできるものではない。
世界の動きは速い。日本は遅れ、孤立する。とくに中国、そしてインド、ロシア。この間まさに9・11以後の世界の変化と激動のなかであった。そして特徴ある小泉、ブッシュ。私は西部劇政治と呼んだが、別のプレーヤーは、イラク、アフガニスタン、そしてイスラムの世界(中東だけでなく欧州への移動)とイスラム原理主義、さらに北朝鮮だ。
当然、国と国でなく、民族と宗教による抗争がそこにあり、船橋さんは、そのメガトレンドを如実知見しつつ日本の孤立を懸念する。日本は自ら外へ向かい戦略性をもってソフトパワー戦略を見直し、再構築することだ。福田訪米の日米同盟強化策のなかにその視点があることが、知られていないのは残念だが、大いに後押しし進めたいと思っている。