地域主権型道州制.JPG中央集権という後発国的な発展モデルを打破し、新しい「国のかたち」をつくるために、地域主権型道州制を主張する。

前者にある画一的、拘束的、不自由、個性を抑圧して、依存心と甘えを助長するこれまでを打ち破る。そして国、道州、基礎的自治体(15から40万人)の3層でいく。道州で税を徴収して国費分担金として国をまかなう。国民も地域も個人も自らの足で立ち、「自主自立」「自己責任を果たす」「個人の正当な努力が報われる」社会をつくる。地域個性を生み出し、国際社会で生き抜いていく道州拠点をつくる――そういった意欲的主張だ。

たしかに世界は動いている。日本を元気にするために、各車にエンジンのある新幹線型の日本にしないとやっていけない。このまま放置すれば、全国では取り返しのつかない高齢化と元気のない地方ばかりになりかねない。相当の智慧とやる気の人材集団が必要だ。それだけに私は、助走が大事だと思う。


ホームレス中学生.JPG「お湯に感動できる幸せのハードルの低い人生を愛している」というが、いきなり突然の「解散」から始まったホームレス中学人生。貧乏自叙伝。

「ありがとう」と感謝できる、過酷なのに普通に生きることがどうしてできたのか。母親、兄弟、友人たちの善意とあたたかさ。とともに、「生きていること自体に意味がない。15年生きていろんなことを経験してきたからもう十分。もういろんなことを乗り越えるのがしんどい」といった心を抜けたところに諦観(あきらかに観る)がすでにある。


日本孤立.JPG週刊朝日の連載「船橋洋一の世界ブリーフィング」の最終本。その時々の論評、分析を5年後に本にすることは大変なことだ。よほど確かな眼をもっていること、そしてしっかり人に会って取材し、考えを総合化して自らの主張をもつことなしにはできるものではない。

世界の動きは速い。日本は遅れ、孤立する。とくに中国、そしてインド、ロシア。この間まさに9・11以後の世界の変化と激動のなかであった。そして特徴ある小泉、ブッシュ。私は西部劇政治と呼んだが、別のプレーヤーは、イラク、アフガニスタン、そしてイスラムの世界(中東だけでなく欧州への移動)とイスラム原理主義、さらに北朝鮮だ。

当然、国と国でなく、民族と宗教による抗争がそこにあり、船橋さんは、そのメガトレンドを如実知見しつつ日本の孤立を懸念する。日本は自ら外へ向かい戦略性をもってソフトパワー戦略を見直し、再構築することだ。福田訪米の日米同盟強化策のなかにその視点があることが、知られていないのは残念だが、大いに後押しし進めたいと思っている。


雨宮処凛の「オールニートニッポン」.JPGインターネットラジオ「オールニートニッポン」。

企業は若い人を使い捨てて、空前の好業績。派遣、請負。自由に働く、それはそれでよい。しかし、はい上がれない、超低賃金。正社員の環境も劣悪化。今の社会はそうしたフリーター層が欠かせない。こうしたことを生の言葉で語っている。

ヴォルテールの「希望は絶望の後にある」の言葉は、残る。


火の闇.jpg四つの短編小説。沖縄という因習というか、庶民の原型というか、呪術というか、宗教の原風景がある。ここまで村全体が1つの家族のように一体となっていると、息苦しく、何でもウワサが一瞬のうちに流布してしまうなかで、主張性をもった人間は極端に走らざるを得ないのかもしれない。

人が共同体を形成して生きていくなかで、宗教は不可欠のようだが、それゆえに伝統を打ち破るには狂人のごとき相当の覚悟がいる。

光と闇と祈りと火をテーマにして日常を書くことは、卓越した粘りの力だ。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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