20121005きみはいい子.jpg大都市近郊の新興住宅地を舞台にして、子どもたちと親、教師が悩みと傷をかかえつつ、ある瞬間、ふっきれる。ほのかな光を見出す。そうした日常的な、しかし各個人にとっては人生の全てをかけた重大、深刻な心を描いた5つの短編集。

人は本質的に善性をもち、生きたい、希望をもちたい。救いが欲しい。「私は悪い子なんだ」「ごめんなさい」という世界から脱して「きみはいい子」と、誰か一人でもいい、思ってくれる人がいれば乗り越えられる。そんなことを学校、子どもたちの繊細な心の襞にふれながら描いている。

昨今の陰湿で残忍な"いじめ"問題。皆、忙しくてイライラして、子どもの純で繊細な心に、時間をとって、ごく普通にふれあうことができなくなっている。人はそれぞれの事情と宿業をかかえて黙しながら生きている。


20121002宇宙はなぜこんなにうまくできているのか.jpg「ケプラーの法則、万有引力の法則、相対性理論」
「太陽の核融合とニュートリノ」
「星の一生とブラックホール」
「惑星と作用・反作用の法則」
「曲がる空間」
「暗黒物質(原子でできていない)の存在を裏づける重力レンズ効果」
「アンドロメダ銀河に吸収される天の川銀河」
「宇宙は定常ではなく、始まりがあり、膨張し続ける」
「光の正体」
「四つの力と素粒子の標準模型」
「陽子と中性子を構成するクォーク」
「フェルミオンとボソン」
「インフレーション宇宙論」
「マルチバース」・・・・・・。

宇宙全体で、原子でできている通常の物質は4.5%、暗黒物質は23%、暗黒エネルギーが73%――。宇宙は生きており、動いている。

前著「宇宙は何でできているのか」は、難解きわまる宇宙と素粒子の世界を「これでもか」というほどわかり易く書いてくれているが、本書はさらにわかり易い。

奇跡的によく地球が生まれ、人間が生まれる状況ができたものだ。


20120928続・悩む力.jpg「悩む力」の続編。東日本大震災を受けて書かれたということが前著と違う。

「人は生死の境をさまようほど心を悩み抜いたときに、はじめてそれを突き抜けた境涯に達し、世界の新しい価値とか、それまでとは異なる人生の意味をつかむことができる」――ジェイムズがいう「二度生まれ」(宗教的経験の諸相)のできる時ではないか。そう姜さんはいう。

夏目漱石やマックス・ウエーバーは、近代化過程のなかで、人間社会が解体され、価値観や知性が分化し、人が孤立し、絶対性と共同性を失っていくさまを煩悶のなかで先駆的に描いた。それらがより先鋭化した今、自己存在の意味を問うことのできる時ではないか。しかし人間と社会がより浅薄化し、公共領域は大きな歪みをきたしている。

「直接アクセス社会」(チャールズ・テイラー)は、「市場が政治を動かす」ことによって中間的組織・政党をもなぎ倒しつつあり、ネットによる破壊衝動をより強める。
悩むことによって新たな世界の扉が叩かれる。悩むことによって「深まる」。しかし、「開かれる」「生きる力が湧く」という転換こそ重要なカギであり、人生にはその「生きる力」をもたらす「感ずる力」「気付きの力」が大切だと思う。


201200925暴走する地方自治.jpg「改革派」首長の勢いが増している。国から権限等を分けてもらうのではない、地域主権だ。地域の自主性を強く打ち出さないとますます地域は弱くなり、この国は活力を失う。それにしても、国は何でもがんじがらめで官僚に支配されて旧態依然だ――それが首長たちの主張だ。

田村さんは「国が存在感を示せない。そこに地方政治の劇場化が生じる」「しかし、ポピュリズム的政治手法をとる暴走する首長では、地方も国も救えない」「眼前にある現状の問題を変えることこそ大事だ。制度を変えれば良い結果がもたらされるのは幻想だ。制度改正に注ぐエネルギーを、もっと地域を元気にする取り組みに注げ。制度を変えるのは手段の一つであり、地域をどうするのか、元気にするのかというビジョンと実行が先決」という。そしてこれまでの「改革派」首長には"改革をやりっ放し"が多すぎ、中途半端、検証もないともいう。

大阪都、中京都、新潟州、そして欧米の中央と地方の仕組みの検証をし、本当の意味での地方自治の姿を探っている。景気・経済・財政、外交や歴史、人物論などに比して、あまりにも統治機構、地方自治等の論議が少ないことを感ずる。集中的、総合的な論議が不可欠。


20120921震える学校.jpg山脇さんが2006年に出した「教室の悪魔」(ポプラ社)は衝撃的な本だった。現在の"いじめ"がいかに集団で、対象が入り替わり、残忍で、巧妙に、隠れた所で、ネット等も駆使して行われているか、その核心を突いていた。

本書では"いじめ"の実態を再び抉るとともに、教師自身が、一日百件もの誹謗メール「死ね」「レイプしてやる」などの"いじめ"にあい、噂によって職場を追われる実態にまでふれている。

「信頼される学校」のために、山脇さんは
(1)複数の教員の目で見守る
(2)保護者全員に知らせる
(3)電話ではなく、定期的な保護者会で話し合う
(4)子どもたちには保護者からも伝えてもらう
(5)被害者への質問はしない
(6)アンケートは、活用のルールを子どもに伝えておく
(7)情報は集めても、事実の調査にはこだわらない
(8)さまざまな大人が見守るオープンな学校に
(9)頻繁な保護者会で、連続的なコミュニケーションを生み出す
(10)子ども同士の話し合い
(11)学校内部で解決できない時は、教育委員会や警察への相談をためらわない
――などを示す。

 「人間の心には、生まれた瞬間から愛情で満たされなくてはならない器がある」「満たされないと心を苦しめる」「愛情を注ぐことだ」「愛情の器がカラカラに渇いている子どもが、いじめを起こす」と「愛情の器」を満たすことを山脇さんは訴える。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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