20111107-book1.png20111107-book2.png話は戦国乱世、天正6年(1578)から始まり、慶長8年(1603)あたりまで。信長、秀吉、そして関ヶ原、家康へと進む大激動の時代――そこで生きた三人の二代目。上杉景勝、毛利輝元、宇喜多秀家の三人の生き残りをかけた苦悩・智慧・勇気が描かれる。

毛利元就の三本の矢、隆元・吉川元春・小早川隆景。その毛利を引き継いだ隆元の子・輝元は叔父の二川(吉川、小早川)と相談して事を進めるが、二川の考えも重なり、思うようにいかない。毛利家が大であるがゆえの苦闘でもある。その外交僧
安国寺恵瓊の動きも活発だ。

宇喜多八郎(秀家)は、したたかな宇喜多直家の悲願の子。ピタッと秀吉について、その意味では路線・姿勢に揺れはない。母親・お福の男まさりの智慧が描かれ、その発する言葉はじつに面白く、的確。

偉大な上杉謙信(妻をもたなかった)のあとを継ぎ、生き抜いた景勝。そこには2人、直江兼続と謙信の姉であり、景勝の母・仙桃院が支える。

お福と仙桃院の2人の女性が、この小説では際立つ。

「二代目は先代の苦しみを知るが、初代は二代目の苦労を知らない」――ダイナミックな歴史小説。


20111104-book1.png 20111104-book2.png毛利の外交僧である安国寺恵瓊。信長の死を予言した禅僧とも、関ヶ原を演出した男ともいわれるが、戦国乱世をまさに動きに動いた男だ。

「信長の代、五年三年は持たるべく候。明年あたりは公家などに成らるべく候かと見及び申し候。左候て後、高ころびにあおのけにころばれ候ずると見え申し候。藤吉郎さりとてはの者にて候」(吉川家文書)――恵瓊の分析だ。

「わが栄達は、秀吉とともにあった・・・・・・」「毛利家を豊臣政権下での生き残りの道に導いたのは、ほかならぬ恵瓊と小早川隆景の二人である」――。光秀の謀反、中国大返しについて、本書では「拙僧も寝耳に水の話でございました。恵瓊はぬけぬけと言った」とある。知っていたという筋書きだ。関が原に向けて恵瓊、三成、大谷吉継の3人の密談が描かれ、毛利輝元を西軍の総大将と担ぎだすが、恵瓊の前のめり感がよく描写されている。いずれにしても怪物。公明新聞に「安国寺恵瓊」として連載された。


「想定外」の罠 大地震と原発 .jpg想定外――問題は専門家の想像力の欠如にある。

「その想像力を回復する」「起こる可能性のあるものは必ず起こる」「想定外として思考停止するその思考の枠組みを変えよ」「システム辺縁事故を重要視せよ」「想定の閾値を高くせよ」――など指摘は重い。

チェルノブイリ、スリーマイル島、広島、阪神・淡路大震災、メキシコでのビル倒壊、日航ジャンボ機墜落事故、三宅島噴火、豪雨・・・・・・。この50年にわたって丹念に調べ、指摘し続けてきた柳田さんの「現場に立つ」五感フル回転のレポート・評論。

そこには人生と真摯に向かい合ってきた熟蘇の死生観、哲学がにじみ出ている。


20111028-book.png「彼はポピュリズム(大衆迎合)から遠く離れたところに毅然として立っていた。彼にとって国民は守るべき対象であると同時に、時として指導教育すべき対 象でもあったわけだ」「外交感覚のない国民は必ず凋落する」――2.26事件、迫りくる戦争と開戦阻止の闘い、ポツダム宣言受諾、緊迫した8.15前後の 日々、GHQとの抵抗と戦い、「不逞の輩」発言、火花散らす米ソ、そしてサンフランシスコ講和条約の締結。吉田茂の命をかけた日々が活写される。

 敗戦の日本を背負う緊張感、そして吉田茂をかこみ断固走り抜く白洲次郎をはじめとする人々の気概が迫ってくる。


国債非常事態宣言.jpg3年以内の暴落」へのカウントダウンと副題にあり、国債暴落のシナリオと、国債暴落後の日本経済、「リスク管理の基本は分散」などの備えについて述べ

 危機が迫っていながら、危機感がなく、決断しない、先送りであるがゆえに最悪のシナリオに進んでいる日本――。国債の状況・ムーディーズとS&Pの格付け機関の見方。英国キャメロン首相の財政改革(鎮火策)などを示す。

 「事業再生の基本は鎮火、実行、成長」であり、大事なことは時間軸と優先順位、まさにプロセスなのに、日本は「鎮火派=財政再建派」と「成長派=上げ潮派」の二者択一のものとして扱われることを嘆く。日本の将来の姿を凝視した展望、考え方の軸が大切だという。

 第二次世界大戦前の「隣組読本 戦費と国債」が紹介され、昭和21年の「預金封鎖」や「新円切り替え」、1988年のアルゼンチンなどもわかりやすく書かれている。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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