「アクセルしかない車のような欲望社会の中で、前進しながらも『仁』というブレーキをきかせて軌道修正する」――田口さんの言葉だ。「朽木は雕(ゑ)る
可からず。糞土の牆(しょう)は杇(ぬ)る可らず」「未だ人に事ふること能はず。焉んぞ能く鬼に事へん」――今の政治は朽木で、修復不可能の感があるが、
究極するところ哲学不在であり、人間通でないことにある。先義後利を心中に刻むべきである。「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」(ビスマルク)を引き
つつ、田口さんは「知者は惑はず。仁者は憂へず。勇者は懼れず」を示す。人の道、宇宙の根源(師)との対話の極致が述べられていると思う。
「子は怪力・乱神を語らず」(述而篇7-20)――。この難しい社会にどう生き抜くか。君子(教養人)をめざせ。小人(知識人)になるな。知識のみを追
い求める人間ではなく、知性と徳性を併せ持つ人間・君子たれ。加地先生の境地から、生き生きとした生々しい孔子の言葉がよみがえる。
現在の世界経済危機は、単なる景気循環の問題ではない。資本主義そのものの大転換、400年に1度の歴史の峠に今さしかかっているという。
躍進を続けるヤマダ電機。なぜあれほどの拡大ができるのか。なぜ安く売りながら利益が上がるのか。消費に限界があると思えるのに、どこまで行けるのか。おそらく想像を絶する難題・苦難があるだろうと思われる。
理念は往々にして理念としてまつり上げられがちだが、本当に「創造と挑戦」「感謝と信頼」「企業価値を高め社会に貢献する」が、一直線に貫 かれているがゆえの成長であることがよくわかる。それ以上に、最も重要な社員力が、会長、社長の気迫と愛情で育まれている感がした。統率力は気迫だと思わ ずにいられない。