これからの「正義」の話をしよう.jpg「いまを生き延びるための哲学」と副題にある。ハーバード大学史上空前の履修者数を記録する大人気講義「Justice(正義)」をもとにしたもの。

「金持ちに高い税金を課し、貧しい人々に配分するのは公正なことか」「徴兵と傭兵、どちらが正しいか」「自殺・食人」「戦後補償」から「妊娠中絶・幹細胞・同性婚」に至るまで、これをどう考えるか。

前提とする考え方を突き詰めると「正義」「自由」「道徳・哲学・倫理」の問題にぶち当たる。道徳的問題を解決することなしに、法の支配を決しえない。「幸福」「自由」「美徳」の視点からベンサムの功利主義、ミル、リバタリアニズム、カント、ロールズ、アリストテレス等を中心に「正義」に迫る。

福利の最大化と自由の尊重――ベンサムやミルとリバタリアニズムは論議の中心だが、重いし、講義が熱を帯びることがわかる。


茜色の空.jpg大平正芳生誕百年記念の小説。しかし、これは戦後の政治史そのものだ。

哲人政治家とも、高潔な志とも、尊敬される大平元首相。宏池会の人に聞くと、本書のとおりだという。

大平さんは常に国家国民ということを考え、常にあらゆる課題に自分として真摯に考え続けること。宗教も哲学も思索も人間としての全てにわたる誠実がある。

ある意味では難問に簡単に結論を出さずに、それを抱え続けて格闘する誠実さと胆力と持続力、こんな言葉はないが矛盾力、煩悶力というものが、哲人政治家を形づくっていると思う。


「課題先進国」日本.JPG環境・エネルギー、医療や介護や住宅、そして教育・・・・・・。日本は課題先進国であり、それを意識し、挑戦し、切り開いていくことによって新しい国家は築かれる。全くその通り。

「21世紀の国家像を示せ、ビジョンを示せ」という言葉を何度聞いただろうか。今を打開せずしてどうして未来があろう。しかも、直面している課題は、世界的だ。課題の克服は、世界のフロントランナーとして新しい社会システムを創造することになる。

小宮山さんは21世紀の環境とエネルギーのビジョンとして、ビジョン2050を提起している(物質循環システムの構築〈分別と最小限の廃棄、紙・プラスチック〉、エネルギー効率3倍にする。それはエネルギー消費を3分の1にすること〈自動車・エアコン・照明4倍、転換(高炉→新電炉、キルン→副成セメント)〉、自然エネルギー2倍(太陽電池・バイオマス・風力発電・水力・輸送・蓄電・グリッド)。


100730-book.JPG 副題に「詭弁・逃げ・だましの倫理なき菅政治は日本を滅ぼす」とある。斬れている。

鳩山・菅両氏が小沢幹事長を非礼きわまりない斬り方をした「人情紙よりも薄い民主党人間関係」から始まる。どこにも人間哲学がある。

「巧言令色鮮し仁」「君子は本を務む。本立ちて道生ず。(本とは基本)」「利して利する勿れ(国民の利益のためにのみ働き、自分の利益をはかるな)」「選挙至上主義と自分さえよければ主義の執行部」――。

そして、後半は労働組合についてだ。「労働組合は政治権力の番犬になってはならない。あくまで独立自尊を貫くべし」とし、「君子の交わりは淡きこと水の若し。小人の交わりは甘きこと醴(れい)の若し。君子は淡くして以て親しみ、小人は甘くして以て絶つ」を示す。


ザ・プロフェット.JPG20世紀アメリカを代表するベストセラー。

著者は1883年レバノン生まれ、1931年ニューヨークで逝去している。預言者アルムスタファの言葉として示されており、多くの人に影響を与えたという。

これは欧米、キリスト教の文明と文化、そして社会の底流を静かに形づくっているもの、位相に位置するものだと思う。

私は世間のなかで、「諸法実相」「如実知見」の哲学を知り、「常楽我浄」「本因妙」の道を志してきた。それが赤裸々な人間の自然の道だと思う。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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