漢字の相談室.JPGのサムネイル画像「漢字は漢の時代より千年も前から使われ、漢というのは、漢民族の漢」、道とか近は私は「しんにゅう」と習ってきたが、「二点しんにょうが伝統的には正しかった」「虹・蛸・蛤などはムシヘンでは変な感じがするが、虫は『むし』ではなく『マムシ』という動物を表す漢字だった」―などなど。

漢字クイズなどがデレビをにぎわしているが、阿辻さんは、そんな次元とは異にして徹底して学問的に調べあげている。すごい。最後に「知るを知るとなし、知らざるを知らざるとなす、これ知るなり」(論語)をあげ、未解明の領域に迫力をもって迫っている。

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忘れられた日本人.JPG宮本常一(つねいち)氏は、1907年(明治40年)の生まれ。昭和14年以来、全国の離島や辺地をくまなく歩き、独自の民俗学を築いた。

文化を築き支えてきた伝承者・老人達自身が語ることを、丁寧に克明に描き、生き生きと蘇らせている。1960年の本で、宮本民俗学の結晶だ。

私の生まれたすぐ近くの北設楽郡旧名倉村が「名倉談義」として出てくるが、地名も土地柄もなるほどと思わせるもので、当時の田舎の生活そのものが描き出されている。民衆史、民俗学そのものだ。

「私の一ばん知りたいことは今日の文化をきずきあげて来た生産者のエネルギーというものが、どういう人間関係や環境の中から生まれ出て来たかということである」と宮本氏はいう。

「中央的・権威的な匂いのする既成の民俗学に抗して、泥にまみれた庶民の生活そのものの中に、人の生きる明るさ、たくましさをとらえようとする宮本氏の民俗学」(網野善彦氏)だ。

多くの人が圧倒的に基本にすえるすぐれた一書だ。


修身論.jpg「修身」だけでなく「愛国心」「自由・平等」「家族」「ゆとり教育といじめ」「人間は生産を通じてしか附合えない。消費は人を孤独に陥れる(福田恒存)」「ケータイ」「"魂"をつくる教育」「平凡に胸を張る勇気」「勝間和代でも香山リカでもない生き方」・・・。

小林さんのゴーマニズム宣言は、わが国に常につきまとう哲学不在、思考停止、それゆえにイデオロギー(主義)に振り回され浮遊する人間と社会を根源的に突いている。

「ごーまんかましてよかですか?」と言われれば「勿論」だ。



低炭素経済への道.jpg地球温暖化が進んでいる。IPCCの科学的知見を受けて、産業革命以来の平均気温上昇を2℃以下に押える必要がある。

経済に悪く作用するとか、日本は雑巾を絞り切った状態だという動きがあるが、産業構造を転換し、環境産業政策への転換、グリーン産業政策を今こそ遂行せよ、日本経済の生きる道がそこにある――そう主張する。

政治についての論及は、図式的なスローガンやイデオロギーが出てくるが、低炭素経済へ具体的に迫力をもって迫ることが日本には大切だ。


愚直に勝る天才なし!.jpgバリバリの現役、世界一の町工場・清田製作所の清田茂男さんは、地元北区に拠点を置く。世界でも、大企業でもできない半導体を検査する超精密・最先端のコンタクトプローブをつくりあげた。

この四探針プローブだけでなく、集中して考え続け、万般にわたってセンサーをはりめぐらせ、身近なものまでもヒントとして、しかも実際に完成させてしまう――「すごい」の一語だ。

この本には、清田さんの「生きざま」と「哲学」が描かれている。そして「悲観主義は感情のものであり、楽観主義は意思のものである」(アラン)の強靭な意思が全くブレなく貫かれている。

「中小企業の底力」と人はいうが、私は「日本人の底力」「人間の底力」に感服する。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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