幕末の「あの破れかぶれの熱気」。尊王攘夷、大政奉還、王政復古・・・・・・。逃れられない"運命"としかいいようのないなかで、もがく人々。「その宿命ってのは戦とか尊王攘夷とか、そんな御大層なもんじゃねェ。もっとちっぽけで、俺らひとりひとりが抱えてるもんなんだ・・・・・・」。
吉原から幼なじみの愛する女・八穂を救い出そうと、賭場を襲わせたやくざ者の蓮八は、殺し屋・夜汐から身を隠そうとして京に上り、新選組に加わる。そこには「沖田はひとりぼっちで性質の悪い咳に悩まされ、芹沢は酒に酔い、近藤は仏頂面をぶらさげ、土方はうっとりと死に場所を夢見ている」という面々がいた。八穂から手紙をもらった蓮八は脱走し江戸へと向かう。殺し屋からも新選組からも追われ、必死で八穂を求めて進む蓮八。
運命をかみしめながら生きる各人の心中を描く名文は、余韻を伴なって心奥に迫り、あたかも芝居の名場面を観るようだ。「ありがとうございます。嗚咽の合間に、声を絞り出すのがやっとだった。・・・・・・時折胸を引き攣らせながら、蓮八はつぎになにが起ころうともそれは御仏の思し召しなのだと悟った。生きるために盗み、奪い、謀り、殺してきた。そのようにしか生きられぬ者は、やがてそのように死んでゆく。誰かが生き長らえるために、使い捨てられてゆく。その誰かもまた、誰かに使い捨てられる。昼と夜が交互に訪れるように、生と死もかわるがわるやってきては人を照らし、隠す」・・・・・・。
2015年から3年間の評論――。安保法制、70年談話、日韓合意、沖縄、憲法改正、アベノミクス、加計問題、トランプ誕生、衆院選と野党、官僚の不祥事・・・・・・。これら難題はかなり構造的かつ深い位相をもっている。
「日本は、安全保障上の脅威にリアルにさらされることなく、延々と字句解釈を続けてきた」「安全保障論議を法律論だけに押し込めて語ってはいけない。日本の安全保障環境をめぐる情勢認識が最初にあって、それを踏まえてどのような安全保障政策が必要かという議論が必要」「情勢認識――中国の軍拡、北朝鮮の核武装、米国の内向き化」「積極的平和主義とは、現実と向き合って生きる覚悟を持つこと」「日本の安全保障論議にもっとも不足しているのは、政策判断をめぐるリアルな議論」「憲法学者への疑問」「宇宙やサイバーなどの新しい戦場における一定の戦力の確保」「どうして9条を変えなくてはならないか――9条2項の規定が現実と著しく乖離してしまっている」「シビリアン・コントロールの大原則を確立することと政軍関係」「自衛隊を軍事組織として位置付けることは、明白に憲法事項」「自民党2012年改憲草案は気持ち悪い」「日本型リベラルが9条信仰の道づれになって敗北すること」「口利き政治を誘発するのは官僚支配。国家が社会的な供給量を決めてしまうのは、社会主義が浸透しているから。国家は獣医さんの品質に関わるけれど、供給には関わらないこと」・・・・・・。
感ずるのは、はっきりしたもの言いと、徹底したリアリズムだ。
高齢者が住み続けられるUR団地に、多様な世代が生き生きと暮らせる団地に――。
12日、地域医療福祉拠点化に取り組んでいる千葉市のUR千葉幸町団地を視察、さまざまな取り組みの現状を視察するとともに、住民の声を聞く懇談会を行いました。これには富田茂之衆院議員や中野ひろまさ衆院議員(公明党国土交通部会長)、千葉県の田村こうさく、横山秀明両県議が参加しました。
千葉幸町団地は50年前につくられ約4200戸ある大きな賃貸団地。隣接して分譲が約1200戸あります。高齢化が進み、5階建てで、エレベーター設置も少ないために空室も多い状況です。そこで医療福祉施設等の誘致を推進し、団地周辺地域も含めた地域医療福祉拠点の形成を進めています。この日、団地とともに、新しくできている特養やデイサービス、サ高住を含む高齢者福祉総合施設を視察。さらに住民からの要望を聴きました。
東京の郊外、十棟が並ぶ「ちぐさ台団地」。そこに草野球のチーム「ちぐさ台カープ」が結成されており、それぞれの人生模様が描かれる。人生は辛いこともあるが、いい。悔しいこともあるが、「どんまい」で生きていけば、そしてスポーツ仲間がいればなんとか乗り越えていける。
離婚して再スタートを切る洋子と中学生の娘・香織。ともに「負けず嫌い」で「いじいじと落ち込むぐらいならノーガードでも前に出る」という母娘だが、なんとこのチームに加わる。将大――プロで大活躍する有名投手・吉岡の元女房役、甲子園に出場した若者。田村――広島に要介護の親を抱え、週末に通うキャプテン。ヨシヒコ――生意気で嫌われてもカッコつけて生きる青年、野球はうまい。沢松――きわめて無口な職人肌、香織と同級の中学2年生。宮崎――札幌に残した家族を思う単身赴任サラリーマン。ウズマキ眼鏡の小倉――バントの達人だが、なぜかフルスイングにこだわる三振王。福田――息子の鍛え方に空回りする親父。橋本――三十路半ばの独身男。伊沢――亡き母を偲んでカレーライスを食べ続ける男。そしてこのチームをつくったカントク――広島の原爆で身内を失った老人。広島カープに熱烈な愛情をもつ人生練達の苦労人だ。
とくに洋子・香織の母娘のストレートと、カントクの味わいある緩い変化球がいい。重松ワールド全開。