大変面白かった。不思議な感覚だった。きっとそれは、私が辻原登さんと同じ歳で、同時代を生き、かつ同級生たちも定年後の2周目の人生を模索していること等があるからだろう。「渡鹿野」「仮面」「いかなる因果にて」「Delusion」「月も隈なきは」の5つの短編。人生には予測不能な罠がある。理不尽な不意撃ちを食らうのが人生というものだろうと思う。
「月も隈なきは」――。定年になって、「街歩き」「邦画DVDを観る」「将棋道場」などを始めた男の頭に「1度でいいから"独り暮らし"をしてみたい」というかねてからの想いが持ち上がってくる。そして昔、友人に起きた理不尽な事件などが次々と思い出される。「月も隈なきは嫌でそうろう」――月は翳りもなく照り輝いているのがいい、とは限らない(徒然草)。これらの事件を今思うと"運命の悪意による不意打ち"を食らったのではないか、と男は思う。そして彼は「『なるようにしかならない』とどこかで思い定めたに違いない」等思いをめぐらす。「限界の無いアナーキーな自由さ加減が"不自由"だと受け止めているのである」・・・・・・。「渡鹿野」――池袋の風俗嬢ルミが失踪し、そのドライバーだった男は彼女の過去を追うが、伊勢の不思議な島にたどりつく。「いかなる因果にて」――中学時代の友人が死ぬ。怨念をかかえ続けた男たちは、なぜ今になって行動にでたのか。そして怨念の根源となった者は、どうなっているのか。5編ともいい。
晴天の2日、党新春街頭演説会を新宿で行いました。
このなかで私は「今年の皇位継承、G20、ラグビーワールドカップ、来年の東京オリンピック・パラリンピックなど重要行事が多いが、めざすべきはその後の2025年だ」「2025年は団塊の世代が75歳以上になる。空き家が1000万戸、認知症が700万人。大変な日本になる」「今年の統一地方選、参院選はそれを担う人を選ぶ重要な選挙だ」と力説しました。
そして「日本は人口減少・少子高齢社会、AI・IoT・ロボットの急進展、さらには災害のレベルが上がる、という3つの大きな構造変化を迎えている。これを真正面から把え、ダッシュするのが今年だ」「防災・減災ニューディールに全力を上げるのが公明党だ。タイムライン、ハザードマップとともにマイタイムラインに力を注ぐ。暑さ対策として学校にエアコンを入れる」「社会保障に力を入れるが、幼児教育無償化に始まる全世代型社会保障の推進力が公明党だ」などと訴えました。
「未来に責任」――全力で頑張ります。
宇宙が始まって138億年――。宇宙は生き、変化し、膨張している。しかし、観測できる宇宙の範囲は半径460億光年ほどに限られている。宇宙の解明も進んでいるが、「宇宙は一つではないかもしれない」など神秘に満ちている。宇宙の大規模構造、起源、外側の有無等々、探究の最前線を示してくれる。副題は「『大規模構造』を読む」だ。
宇宙には無数の銀河が存在し、銀河・銀河群・銀河団・超銀河団と階層的な構造をもつ。さらに宇宙全体を俯瞰すると「大規模構造」と呼ばれる複雑な姿があるという。そして宇宙におけるエネルギー成分を見ると、通常物質5%、ダークマターが26%、未知のエネルギーであるダークエネルギーが69%。もし宇宙の曲率が正であれば、宇宙は閉じた宇宙というものになり観測できるが、曲率が負であれば、無限に広がっていることになり(なるかもしれない)、宇宙には無限の星や銀河があることになる。
「宇宙の階層」「大規模構造の発見」「大規模構造の形成(密度ゆらぎとダークマター)」「宇宙の初期ゆらぎ(インフレーション理論、量子ゆらぎが宇宙の初期ゆらぎ)」「大規模構造の定量化(銀河の相関関数、ガウス型のゆらぎと非ガウス型のゆらぎ)」「大規模構造の形状(ジーナス曲線、ミンコフスキー汎関数)」「赤方偏移空間(銀河の赤方偏移、ハッブルの法則、神の指効果とカイザー効果)」「バリオン音響振動」「ダークエネルギーと大規模構造(宇宙膨張と宇宙項)」「宇宙の性質と大規模構造」・・・・・・。確かに易しく語ってくれているが、難しい。
「平成30年間の政治」を問う貴重な作業。御厨・芹川両氏を中心として、そこに3人の語り手を加えた対談。ジェラルド・カーティス、大田弘子、蒲島郁夫の三氏だ。私の政治生活もまさに「平成30年間の政治現場」であったし、生々しい現場に1年生の時から身を置いた。本書の5人の方々にも知遇を得ることができた。
「災害の多い平成」「デフレに沈み、脱却にかけた平成」「政治改革、小選挙区比例代表制の欠陥が、自民党をはじめとする各政党(政治家)に及んだ平成」「国会、議員、官僚、官邸の変化(質)した平成」「情報社会、テレビ政治に翻弄される政治家とポピュラリズムが蔓延する平成」の政治であった。「俺は今、どこの党かと秘書に聞き」という川柳は、今も当てはまる政治でもある。「言論の府」「綸言汗のごとし」であるべき政治家の言葉が軽く、政治家の力と質の低下は顕著だと思うが、若い政治家は逆に軽やかで優秀だという側面をもつ。本書の指摘は、自らを省み、考えることも多かった。そうした諸々の観点を考えるとともに今後の日本への提起――「自然災害と地震の問題」「高齢化と少子化、人口減少の問題」、そして加えれば「AI・IoT・ロボットの急進度とそれによって生ずるデリケートな危うい社会、安全保障」「経済と財政問題」・・・・・・。「政治は人が成すもの」と思っている。