政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.44 「がれき」「除染」「仕事」に総力を! 進めよ、東北未来への大構想

2012年3月20日

東日本大震災から1年。寒さがなお厳しい被災地は今どういう状況にあるのか。第一に被災者の心。第二に問題とされる除染(福島)やがれき処理、そして仕事(雇用)、水産業などの状況。第三に復興構想会議などが当初めざしたはずの東北の未来をどう創造していくかという大きな絵、構想だ。

私は、3月の10日と11日、郡山、仙台、石巻に行き、19日は気仙沼を訪れた。感じたのは、涙ながらに「区切りをつけたい」と語る被災者の心中だ。「がんばろう!石巻」の看板の場所は、その日、祈りの場となっていた。次々と訪れる人々は、あの日のことにふれると突然、声を詰まらせ涙した。この近くで娘と孫二人が亡くなったという御婦人は「ここに来ようと何度もしたが、どうしても気持ちが整理できなくて......。今日、区切りをつけようと思い切って来ました」と語ってくれた。避難所で暮らしていた人は「去年5月25日、石巻港に着いていたテクノスーパーライナーに乗船することができた。シャワーやバイキング料理もよかったが、何といっても個室で大の字になって寝れたことがうれしかった」と声を詰まらせて語った。辛さ、無常感を抱きながら、何とか前へ進もうとする意思の力を痛いほど感じた。

当たり前だと思ってきたことは当たり前ではなかった。寝ること、家族と共にいること、水、空気、人の絆、自然とともに生きその恵みを受けていること、人の真心に感謝すること。そうしたことがいかに大切なことか――それが3.11だった。それはまさに戦後とは何であったのか、繁栄とか豊かさとは何であったかを問うことであり、被災者の心にどこまでも寄り添う心と行動力が不可欠ということだ。 不安と決意のアンビバレンツに寄り添うこと。鎮魂も復興も、そうした祈りのなかになければ、被災者の心とすれ違う。

がれき、除染、仕事(雇用)
復旧・復興に対し、私たちは民主党政権に、「遅い にぶい 心がない」と言ってきた。現地からいくと「現場にも来ない」「視察に来てもすぐ帰る」「親身になってくれない」「責任をもって結論を出そうとしない」「縦割りと書類の上げ下げで話がどこか消えてしまう」......。「にぶい」「心がない」から響かず、結局すべてが「遅い」となる。

「現場にはにおいがある。空気がある。優先順位がある」と私は感じてきた。本当に今、この時に何をまずやって欲しいと思っているか。優先順位は明確だ。

「東京で、立派な人たちが私たちの復興プランなどつくらないでほしい」――現地に行くたびに何度も何度も聞いた言葉だ。緊急の優先順位が食い違うからだ。司馬遼太郎が「明治という国家」で言っているように、制度をつくるには制度をつくる精神が確かでなくてはならない。

福島の除染、宮城・岩手のがれき処理。ともに遅々たる歩みだ。「高圧洗浄だけでは放射性物質は場所を変えるだけ。回収された汚染土、汚染水を適切処理する体制を強く進めて欲しい」という声を聞く。「がれき置き場はいっぱいで、自力処理するプラント・施設をつくろうにも、場所自体ががれきで埋まっている。広域処理で助けてもらわないと動きようがない」という声を、臭いのただよう集積現場で聞いた。これらの現場の切実な声をバッと受け止めて、国民に説明・理解を求める。リスクを負っても結論を出す、やり抜く政治が、今も全くできていない。
"仙台バブル"などと言われるが、建設関係が動くのはこれからだ。建設関係者の人件費の高騰や現地宿泊所不足もあいまって、「入札不調問題」が起きており、調整しないとさらに動かない。2年目の今こそ大事、具体的なスタートにあたって仕事、雇用の調整はきわめて重要となる。「政の興る所は民の心に従うに在り」(管仲)だが、それは現場に入り、民の心中に接し、寄り添うなかに見出されるものだ。

"鳥の目"の構想とスピード
もう一つ。それは東北の未来に向けての構想だ。"鳥の目"と"虫の目"をもてといわれる。"鳥の目"をもってするリーダーシップは相当の力がいる。よくいわれる関東大震災の時の復興院総裁の後藤新平の"大風呂敷"とスピードだ。景気・経済の再建、デフレの克服、東北未来の創造、私たちが主張する全国的な防災・減災ニューディール――そうしたエネルギーが政治に満ちていなければ成し遂げられるものではない。少なくとも成長を犠牲にしてバラマキ・分配にシフトしてきた民主党政権の逆噴射の経済政策の転換が不可欠だ。それが今、ただ増税一直線――何たることだ。

同時に昨年来、多くの人が、たんなる復旧でもなく、復興でもない、「大きな構想力を描け」「強い農業」「強い水産業」「21世紀型の最先端のエコタウンを作るチャンス」「再生エネルギーの原動力・東北」など、数々の提言をしている。「仕事を奪われたとき、人は人間としての輝きを失う。産業基盤創生や日本海側とのリンク...」を強く求める識者もいる。
 
"鳥の目"も"虫の目"も中途半端。3.11で何を感ずるかも鈍感。「遅い にぶい 心がない」政治を結果を出す政治に変えないと、日本は再建できない。必ず切り拓けるはずだ。

facebook

Twitter

Youtube

トップへ戻る