政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.54 「おいしい給食」「早寝 早起き 朝ごはん」運動 教育改革は現場の智恵と熱意

2012年10月23日

日本の未来を考える時に、教育は重要な柱だ。「教育の深さが日本の未来を決定する」のは間違いない。ビクトル・ユゴーは「海よりも壮大な眺めがある。それは大空である。大空よりも壮大な眺めがある。それは人間の魂の内部である」といった。教育は人の心を培い、鍛え、豊かにし、育むことだ。今、社会の劣化、人間の劣化、哲学不在の時代となり、政治家の劣化とポピュリズム政治が日本の未来をますます暗い閉塞状況を生み出している時、教育に力を入れることが緊要だ。

教育の制度を論議することは当然大切だ。私は2000年に小渕内閣が始め、大きな成果を得た「教育改革国民会議」に加わり、2006年の教育基本法改正にも主導的役割りを果たしてきた。しかし、同時に私が思うことは、教育改革の基本は「現場に智恵がある」ということだ。身近な教育改革を粘り強く、やり続けるということである。


先日、足立区が進めている「おいしい給食推進事業」の意欲的取り組みを見るため、中学校を視察した。足立区では2008年度から「おいしい給食日本一」をめざして、「おいしさ」「安全」「必要カロリーと栄養のバランス」等に力を入れてきた。現場を見るとそれだけではない。配膳、挨拶、食事後の片づけ、そして歯みがき自体が、食育だけではない、人としての良き習慣と教養を育んでいる。自然の恵みや生産者や調理師などへの感謝も育まれる。教室には音楽が流れ、動作にリズムがあり、教師や友だちとの楽しい語らいの場でもあった。真剣に取り組むと、これほど「給食の時間」が他の教科にも増して大きな教育となっているのかという実感が込み上げてきた。「ただ食べる給食」とは全く異次元のものだ。

2006年に始まった「早寝 早起き 朝ごはん」運動も効果を発揮し、定着しているという。この考え方を文科省とともに進めた者の一人としてうれしいことだ。百マス計算で知られる陰山英男氏が、日本社会の夜型化が進み、生活習慣の乱れが知力、体力の低下にもつながると指摘し、「早寝 早起き 朝ごはん」を提唱したものだが、私も全く同感、政府の運動として結実した。朝食を食べる子が10%以上上昇し、小学生で約90%、中学生で約80%になった。この運動は親の意識改革をももたらすが、それが進むと本当に子どもの知力、体力の向上、授業の集中力が増す。読書も大切だ。公明党は朝の10分間読書運動、あるいは小さなお子さんに、読み聞かせの読書のスタート「ブックスタート」運動なども進めてきた。

「いじめ」問題――「いじめは2学期からひどくなる」(佳川奈未著)、「震える学校」(山脇由貴子著)(いずれもポプラ社)などを読んでも、現在の「いじめ」がいかに集団的で、残忍で、巧妙に、隠れた所で、ネットも駆使して行われているか。私たちの時代とは全く違う。「子どもの"無言のサイン"をキャッチする」「すぐキャッチしたら学校を休ませる」「解決に向けての行動のタイミングと準備に力を注ぐ」など、多くの人々のよくわかった協力が不可欠となる。これも現場の力が不可欠だ。

「今の教育はダメ」「学校はダメ」と言っていたら改革、改善はできない。やれることはヤマほどある。私は給食だけでなく、運動会、周年行事などにもよく足を運ぶが、教育改革は現場に基づいたものでなければならないし、現場に智恵があると思う。

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