政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO,86 現場を支えるロボット技術開発/女性や中高年をアシスト

2015年9月30日

ロボット技術(公明新聞).jpg「現場の仕事をロボットが支える」──。専門技術を持って現場で働く技能労働者の不足が問題となっているなかで、作業負担を軽減して生産性を向上させるロボットの技術開発が進んでいる。


我が国は人口減少、高齢化が進み、15~64歳の生産年齢人口も減少が続いている。建設業の技能労働者(職人)も、平成9年のピーク時は約445万人だったが、平成26年には約341万人。最近4年間では約10万人増えているものの、まだまだ不足が言われている状況だ。しかも建設業の就業者は、29歳以下が約1割に対し、55歳以上が約3割と高齢化が著しい。このため、高齢者にできるだけ仕事にとどまってもらうとともに、若い人や女性にも建設業に入って活躍してもらうことが重要だ。賃金や休暇などの処遇改善、女性用のトイレや更衣室の改善など職場環境づくりを進め、建設産業の担い手確保・育成に、私も力を入れて取り組んでいる。


もう一つ重要なのが現場の作業の効率化だ。女性や中高年の技能労働者が現場で作業する際、力仕事の負担を軽減し、作業を省力化できれば、現場の生産性が高まる。その手段として開発が進められているのがロボットだ。


開発を進めているのは山海嘉之・筑波大学大学院システム工学科教授を中心としたグループ。私も先月、山海教授の説明を直接聞くとともに、女性の作業員が重いブロックを軽々と持ち上げるところを確認した。ロボットスーツ「HAL」は腰に装着して、重いものを持ったときに腰にかかる負荷を約4割も軽減する。重さは3㎏なので、女性でも簡単に装着できる。しかも腰に取り付けたセンサーで脳からの信号を感知し、モーターの力で腰の屈伸運動を補助する。これにより、作業者が力を入れようとするタイミングにちょうどよい力でアシストし、思い通りの作業が可能となる。実際の現場では、重量物の運搬のほか、鉄筋の組み立てなど中腰での作業にも有効だとの報告もあった。世界でも例を見ない先進的技術だ。


このロボット技術が活用されるのは建設現場だけではない。工場など他のものづくりの現場や、介護、運輸、農林水産業など様々な現場で活用すれば、作業の効率化に効果を発揮するだろう。女性や中高年が働く現場で大きな力になる重要な技術開発だ。

このほかにも山海教授は、人工知能搭載型の搬送ロボットや清掃ロボットの開発も行っている。人工知能を使って走行し、障害物をよけながら移動が可能だ。これは今後、羽田空港で実際に導入される予定となっている。日本を訪れる外国人旅行客に対して日本の優れた技術力を示す絶好の機会になるはずだ。


さらにインフラ関係では、橋梁の点検などインフラの維持管理や、危険な災害現場での無人作業などでロボット技術の開発・実用化が進められている。私が掲げているメンテナンス・エンジニアリングを構築していく上でも、ロボット技術の開発は重要だ。


現場力こそが日本の力──。現場で働く人たちによって我が国は支えられている。その現場力を支えるために我が国の技術力を活かしていかなければならない。ロボット技術の開発・活用は、我が国の未来を支えるために大きな力になるはずだ。

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