政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN
NO.95 2020年の東京を世界に示そう/レガシーとなる都市・文化づくり構想を!
舛添要一東京都知事辞任という事態を受け、急きょ都知事選が行われている。東京は、日本の中心であり、けん引力であり、4年後の2020年東京オリンピック・パラリンピックを控えている。その先頭に立つリーダーを選ぶための重要な選挙となる。2020年の東京をどうするか、子育て・介護・医療などの直面する課題に、そして防災・減災にどう取り組むか、遅れている東京オリンピック・パラリンピックをどう成功させるか、そのレガシー(遺産)をどう構築していくか――。大きな課題への挑戦だ。
レガシーといっても従来のように建物ではないと思う。例えば「東京を世界でも例のない"渋滞のない大都市"にする」ことをめざしたい(ニューヨーク、パリ、上海など世界の大都市では渋滞が多い)。私はこれまで渋滞解消に力を注いできたが、昨年3月7日に首都高速道路の中央環状線が全線開通したことにより、都心を通過する車の交通量が5%減り、渋滞はなんと50%も減るという効果が生まれた。道路を新設するだけでなく、路肩やゼブラゾーンを使った車線数の増加や料金体系の見直しなどさまざまな工夫をすることで、渋滞解消の効果が次々と上がってきている。2020年に向けて取り組みをさらに強力に進めていかなければならないし、「渋滞のない大都市・東京」もレガシーだ。
東京オリンピック・パラリンピックのレガシーとしては、競技場や建築物というよりも、まちづくりの全体をどうするかという視点が大事だ。その視点に立って、いま改めてレガシーとしなければならないものを考えるといくつかの点がある。
まず第一にバリアフリーのまちづくり、「バリアフリーの街・東京」だ。パラリンピックの開催もあり、高齢社会もこれから本格化していく。駅や空港、歩道などのバリアフリー化を重点的に進めて障がい者や高齢者が移動しやすいまちづくりを実現し、高齢社会のモデルにしなければならない。子育て・介護・医療自体に真剣に取り組む東京の実現だ。
第二には国際競争力の強化だ。「世界一ビジネスしやすい東京」だ。世界の都市間競争がますます激しくなる中で、海外から人や投資を呼び込んで競争に勝ち抜かなければならない。世界中の注目を集めるオリンピック・パラリンピックの開催は大きなチャンスだ。その機を逃さず都心の再開発を進め、外国企業や外国人がビジネスしやすく暮らしやすい環境を整備しなければならない。また、成田空港・羽田空港から都心へのアクセスを改善して人の移動や物流をスムーズにしていくことも重要だ。
そして第三はICT技術の活用。「世界最先端のIoT・東京」だ。コンピュータの世界はドラマチックでダイナミックに進んでいる。IoT社会、IoT時代も既にスタートしている。その技術を活用して、世界中から訪れる外国人に、スマホやICカードがあれば多言語対応でスムーズな移動や案内を可能にするのだ。2018年には準天頂衛星が4機活用できるようになり、高精度測位技術を実用化した「センチメートル測位社会」も可能となる。世界最先端の技術を駆使して高度なサービスを提供する「情報のおもてなし」を実現させたい。
さらに第四に防災・減災対策による強靱な都市づくり、「防災・減災都市・東京」も重要だ。オリンピック・パラリンピックは夏の時期に開催されるので、台風などがあった場合でも万全の安全性を確保しなければならない。私はこれまでも岩淵水門の耐震化や荒川、隅田川の堤防強化など水害対策に力を入れてきたが、地下街も含めた都市全体の安全性をさらに高めていかなければならない。首都直下地震対策も重要だ。建築物の耐震化や密集市街地の解消をはじめ、緊急輸送ルートの確保(八方向作戦)、避難者・帰宅困難者対策など着々と進めていく必要がある。
第五に「スポーツに親しむ日本」「スポーツ立国・日本」を東京で旗上げすることだ。日本のスポーツは「全員が楽しむ」というより、学校教育の一環であったり、企業等によるプロやセミプロのスポーツという伝統がある。自らスポーツをする、より多くの人が、仲間とともに、家族とともに、スポーツをやったり観戦する。苦しいトレーニングもあるが、楽しいスポーツ文化を発進していくことだ。
そのほかにも2020年のレガシーはいくつもある。世界最先端の技術力で安全・安心・快適な都市の姿・生活の姿を世界に示す----。2020年、そしてその後の東京の姿を構想しながら、レガシーとなる東京づくりを進めていかなければならない。