政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.110 新技術によるスマートな物流システムを実現/直面する厳しい現状を打破!

2017年9月18日

カーフェリー中.jpg「AIが物流の世界に革命を起こす」。物流の現場で問題となっている人手不足の解決策として、物流の効率性を飛躍的に向上させる新技術の開発が驚くほど急速に進んでいる。

物流は、我が国の産業競争力や豊かな国民生活を支える重要な社会インフラだが、現在、物流業界は大きな危機に直面している。近年の通信販売の普及により、宅配便取扱量が急増する一方で、トラックドライバー等の高齢化や労働力不足が深刻化し、急増する依頼に対応しきれない事態も生じている。

この厳しい現状を打開するのが、まさに高度なICT技術である。物流現場の負担軽減は、私が国土交通大臣であった頃から力を入れて取り組んできた課題であるが、今後の新技術の発展が、物流現場に革命的な変化をもたらす可能性があると私は考えている。

現在、我が国は第4次産業革命の時代を迎えている。物流分野は、従来より機械化の進展があったが、基本的には労働集約的な産業構造である。それが、近年のAI技術等の発展により、物流における複雑な作業を機械が担うことが可能となりつつある。本年6月に、「総合物流施策大綱に関する有識者検討会」において物流に関する政府への提言がとりまとめられたところだが、同提言でも、「新技術の活用による"物流革命"」が提言の柱とされており、物流業界の新技術への期待感は大きい。

先進的な取組の1つが、幹線輸送の自動化である。自動運転技術の開発が急速に進んでおり、現在社会実装を目指しているのが、後続車無人トラックの隊列走行である。ドライバーによる有人運転を行う先頭車両の後を、電子的に連結された後続車両が自動走行システムにより無人走行し、複数の車両が隊列を組んで走行する技術であり、トラック運転の省人化が可能となる。今後、安全性の検証などが必要だが、豊田通商(株)が中心となり2018年度には高速道路の走行を含めた実証実験を行う予定となっている。

幹線輸送のみならず、ラストワンマイルでの自動化も進む。ヤマト運輸(株)と(株)DeNAが協力して、自動運転車を使った宅配サービスの実現を目指しており、「ロボネコヤマト」プロジェクトとして、将来の自動運転社会を想定した実証実験を行っている。荷物の受取人が指定した地点に、運搬車が指定時間に移動し、同地点において受取人自身がドライバーの関与なしに、運搬車の保管ボックスから荷物を取り出す仕組みとなっている。現在はドライバーによる有人運転だが、将来自動運転が実現した暁には、運搬車の運転から荷物の受け渡しまですべて無人で行うことが可能となる。

物流拠点における荷役作業も自動化が始まった。従来、倉庫内の保管物の出庫の際は、作業員が保管棚まで取りに行く必要があった。そこで、(株)日立物流は、AIで制御された無人搬送車「Racrew(ラックル)」が保管棚を自動で搬送するシステムを導入し、入出庫作業の省力化、省人化を実現した。

CIMG4461.JPGこのように、物流の主要な局面において新技術の導入が活発であり、今後、サプライチェーン全体に広がることが期待される。効率性が強みのテクノロジーの力と、条件変化への柔軟性が強みの人間の力を両立させ、それぞれの強みを生かしたスマートな物流を構築することを目指すべきである。

また、物流において新技術を活用した優れたシステムや機器が開発されれば、その新技術の海外展開など、我が国の産業の国際競争力の強化を実現できる。そのような新規産業の創出に繋がる新技術の開発を力強く推進すべきである。

我が国の物流を"強い物流"とし、我が国の産業競争力の強化や豊かな国民生活を実現するためにも、この物流業界の新たなチャレンジを、しっかりと後押ししていきたい。

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