政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.115 進む都市農業の振興と保全/2022年問題への準備を確かに

2018年3月 6日

都市農業②.jpg都市農業の振興が大きく進んでいる。「大都市のなかで農業を続けたくてもできない。頑張ってきたのに・・・・・・」という声をずっと聞いてきた私にとって、嬉しいことだ。息の長い闘いであったが、農業関係者や国土交通省、農林水産省の努力に感謝したい。

都市農業を続けるには困難な時代が続いた。高度経済成長期以降の3大都市圏への人口流入に伴い、住宅需要が急増。都市農地は宅地化されて激減した。さらにバブル経済期の地価高騰は農家の税負担に拍車をかけた。そこで1991年の生産緑地制度の改正により、固定資産税の農地課税や相続税の納税猶予などの負担軽減措置が講じられた。しかし、生産緑地では30年という長期の建築制限や、相続税も終身営農し続けないと猶予されないなどの厳しい制限が存在。加えて後継者不足もあって相続をきっかけに農業をやめてアパート経営を行うなど、農地の宅地化は今も進んでいる。

一方、近年、都市農業や都市農地が果たす様々な効果が注目されている。食の安全への意識の高まりに応えての生産者(顔が見える)からの農産物の供給。地産地消による食育啓発。災害発生時に避難地となる防災空間としての機能。都市住民の農業体験の場。このように都市農業、都市農地は、都市に重要かつ不可欠なものになっている。

こうした状況を受け、私が国土交通大臣だった2015年4月、「都市農業振興基本法」が制定された。生産緑地を指定しやすくすること、税制を拡充することなど、都市農地には様々な論点があり、複雑にからみあっている。私は、都市農地の保全を進めるべく政策転換することを指示した。そして2016年5月、「都市農業振興基本計画」が閣議決定された。この計画は、都市農業振興のために国土交通省や農林水産省などが連携して取り組む具体策を盛り込んだものだ。都市農地が「『宅地化すべきもの』から『都市にあるべきもの』へ」と大きく位置づけが転換された。

都市農業公園①.jpg昨年の通常国会では、ついに面積要件の引き下げ、特定生産緑地制度等を内容とする生産緑地法の改正が行われた。面積要件(500㎡)は、市町村が条例を定めれば300㎡まで引き下げられるようになった。既に私の地元の足立区など東京都下の21区市で条例が制定されている。

昨年末の税制改正大綱では、生産緑地指定から30年を迎えるまでに生産緑地の指定を10年刻みで更新すれば、従来どおり、固定資産税は農地課税、相続税は納税猶予適用とした。指定更新すれば安心して農業が営める税制措置だ。しかし、指定を更新しないと固定資産税が宅地並み課税となり、農家の負担は急増する。都内では250倍になるケースもある。これに対しては5年間の激変緩和措置を設け、負担軽減を図った。

さらに、今通常国会では、生産緑地の貸借に関する法案が提案される。法案が成立すれば、生産緑地を貸借しても相続税納税猶予が継続される。本当に画期的なことだと思う。高齢化により農業を続けられなくなっても農地を手放さなくてすむ。新たに就農したい人や農業体験したい人にとっても、その機会が増える。大きな前進だ。

今、2022年問題が取り沙汰されている。生産緑地の指定から30年が経過する2022年に一斉に解除が進み、地価が暴落するのでは、というものだ。大臣の時の「都市農地を保全する」という決断から始まった生産緑地制度の改正をはじめとする一連の関連施策の見直しもほぼ終えられた。2022年に向けて農地所有者も余裕を持って準備することができる。市場の混乱をもたらさないような準備ができたとも思っている。

都市農業フォーラム.png都市農業問題は、これまで公明党がリードして検討を進めてきた。2月5日に開催された公明党の「都市農業振興フォーラム」でも、農業団体などから多くの感謝や期待の言葉が寄せられた。その言葉を胸に、これからもしっかり後押ししていきたいと思っている。

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