政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.124 若者が入る「新3K」の職場づくり/「入管法改正」で新しい共生社会を!

2018年12月 8日

外国人労働者を受け入れる出入国管理法改正案の審議が行われている。「人手不足問題」「外国人との共生社会」等、今後の日本に重要なテーマとなる法案であり、意義は大きい。

沼田2016①.JPG論点が多岐にわたり拡散しがちだが、全ての前提となるのは、政府の骨太の方針にある「生産性向上や国内の人材確保のための取り組みを行ってもなお、労働力が不足する分野に限り、外国人の新しい在留資格を設ける......」ということだ。つまり、まずやるべき第1は、日本の若者をはじめとする技能者が、働きたくなる職場を作る努力を徹底的にすることだ。そして第2に、現在海外からの技能実習生が28.6万人、留学生が32.4万人。これらの人が、それを名目として労働者として働き、劣悪な処遇とならないよう、制度を整理・充実させること。そして第3に今回の新制度をしっかりしたものにすること、日本語学校や受け入れ態勢を確立することだ。

今回は14の業種で外国人労働者の受け入れを拡大する。就労目的の在留資格「特定技能」を2段階で設け、一定の技能が必要な特定1号は試験に通れば在留期間は通算5年。特定2号は、さらに高度な試験に合格した熟練技能をもつ者で、配偶者と子どもの帯同が認められるうえに、更新時の審査など条件を満たせば永住への道も開ける。いずれも同じ分野ならば転職も可能となる。実習生の失踪が問題となっているが、転職が認められていないことも要因の一つだ。すでに海外からの実習生、留学生が約60万人もいて、働いたり、アルバイトをしていることからいって、法整備を急ぎ整えなくてはならない。

受け入れの検討対象である14業種は、いわゆる3K(きつい、汚い、危険)の職場が多い。大事なことは「人手不足だから外国人」と安易に受け入れるのではなく、先述の骨太の方針にあるように、まず国内の人材確保に力を注ぐことだ。私は国交大臣の時代、所管する建設業等の人手不足対策に全力をあげてきた。設計労務単価を2013年に前年比でプラス15.1%上げ、その後も毎年上げた。現在は6年連続で12年に比べて建設業労務単価はプラス43%になった。また賃金を上げるためには建設会社の側が適正な利潤を確保することが大切だと考え、公共事業の入札価格、事業の平準化も工夫してきた。「インフラ整備は防災・減災にも、ストック効果八ッ場ダム①.jpgによる経済成長にも大きく資する」とし、"公共事業悪玉論"を打ち破ってきた。さらに技能者の研修センターの充実や専門学校で若者に希望を与える講演なども行ってきた。そして3Kの職場を新しいプラスの3Kの職場、「給料がいい、休暇がある、希望がある」の職場に変えよう、と訴え続けてきた。そして現場で汗する技能者の給料が上がり、保険にも入れるようにと言い続けてきた。関係者の協力を得て、成果は間違いなく上がってきている。若者が入ってくる職場づくり、また地元の高齢者も入ってくる職場づくりが、14の全業種に不可欠だ。まさに日本人の働き方改革、プラスの新3K職場への転換に徹してはじめて、骨太の方針にある「国内の人材確保のための取り組みを行ってもなお、労働力が不足している分野に限り、外国人......」である。

「新しい在留資格を設ける」という今回の新しい仕組みは、仕組みそのものの構築とともに、こうした「日本の若者が入ってくる新3Kの職場」「留学生・実習生の制度の整理・充実」など、関係省庁あげて、全力で取り組むことを強く求めている。

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