政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

太田昭宏の政界ぶちかまし☆48

2007年10月29日

「李下に冠を正さず」という言葉がある。「ノーブレス・オブリージュ(社会的地位にある者には相応の倫理・責任がある)」という言葉もある。政治家は権力を使いこなすことも大切だが、それゆえにこそ、権力の怖さを知り、権力を慎重に扱う心構えが必要だ、と常に指摘していたのは後藤田正晴氏だった。

防衛省の守屋武昌前次官が防衛専門商社からゴルフや飲食の接待などを受け癒着していた問題、厚生労働省が薬害肝炎の疑いの強い症例リストを、実名を把握していながら告知していなかった問題、社会保険庁の年金保険料着服問題など、役所、役人の不祥事が次々と明らかになっている。

役所ばかりではない。食肉製造加工会社「ミートホープ」の食肉偽装事件で社長が逮捕され、あの有名な「白い恋人」や「赤福」までが世間を欺いた。食品加工会社「比内鶏」の偽装は約30年前からだというから驚きだ。

それにしても、守屋氏はあまりにもひどい。ゴルフ接待を5年で百何十回受けたということだが、よくもまあそんな時間があるものだ。

今、新テロ対策特別措置法案の審議を進めなければならない重要な時期を迎えている。灼熱のインド洋上という過酷な状況の中、海上自衛隊が黙々と任務に従事している様子は、守屋氏自身が何度も説明していたではないか。現場の人の心、苦労が分かることがリーダーとして不可欠だ。現場の苦労を忘れ、接待漬けになっていたとすれば、許されざることである。

自衛隊員倫理規程では(1)利害関係者から金銭、物品などの贈与を受ける(2)利害関係者から供応接待を受ける(3)利害関係者と共に遊技またはゴルフをすることなどが禁じられている。

普通の公務員以上に国防という大事な任務を受ける自衛隊員には、より高い倫理感が求められて然るべきだ。

癒着関係が事実だとすれば、在職中なら免職もありうるという厳しい処分になる。防衛省と業者との関係は特殊な狭い世界であるだけに、業者との飲食や接待には気をつけなければならないし、それを断固断ち切るという強い意志がなければならない。

防衛省の事務方トップの不祥事だけに、この際徹底した解明と立て直しが必要だ。

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