政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

太田昭宏の政界ぶちかまし☆53

2008年1月28日

年頭から日本は、世界の乱気流にもまれている。株安、円高、原油の高騰、穀物の高騰―これらはサブプライムローン問題や環境問題など多くの要因が絡み合っている。開会中の通常国会を「ガソリン国会」という人もいるが、政治はもう内向きではいけない。「世界の中の日本」という現実を直視し、「国民生活国会」として、腰を据えた論戦がなされなければならない。

22日に代表質問に立ったが、私は「家計を元気に、日本を勢いのある国に」と主張した。大事なのは、「イノベーション」「アジアの成長の核となり、その需要を取り込む」「労働力人口を見据えながら雇用政策に力を入れる」「労働分配率の引き上げ」などだ。マスコミも、もう少し、どっしりとした経済政策を報道してほしかった。

その代表質問で質問時間の制約から話せなかったテーマがある。それは、多数の死者を出す恐れがある新型インフルエンザ対策だ。現在のところトリからヒトという段階に留まっているが、それでも世界で発症者が351人、死亡者が219人となっている。これがヒトからヒトへ感染するようになって、世界で大流行した場合、日本での死者数は最悪214万人にのぼるという調査もある。大変な脅威だ。

政府は昨年、新型インフルエンザ対策行動計画を改定し、発生時には首相を本部長とする対策本部を設置することを決定した。ワクチンや抗インフルエンザウイルス薬の確保、空港での検疫といった水際対策などに力を入れ始めた。

しかし、この脅威に立ち向かうには、行政や医療関係者だけで対応すればよいというものではない。これは国家の危機管理の問題だ。また、国民の協力と理解こそ必要だ。それは、私が大学時代から専門にしてきた地震への対応と似ている。

パンデミック(大流行)を阻止するための決め手は、外出を自粛することや、企業・学校を休みにすること、交通を止めること―などだ。1人の患者が満員電車に乗り、くしゃみをすると、ウイルスは拡散して、どんどん感染者が増え、10日で12万人にまで増加するという報告まである。

米国政府は、防止策として、風邪をひいたら出歩かず、マスクをし、マスクがなければハンカチで押さえることなどキメ細かく呼びかけている。「知識のワクチン」という言葉があるそうだが、他人事ではなく、日頃から手洗いやうがいの生活習慣を身につけ、流行時には外出しなくても暮らせるように食料品を用意しておくことなど、1人1人が今から真剣に備えておくことが重要だ。

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