政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

太田昭宏の政界ぶちかまし☆56

2008年3月17日

先週、韓国を訪問して李明博大統領など多くの要人と率直な意見交換をした。新たに就任した李大統領は立志伝中の人で、"韓国ドリーム"の体現者だ。

大統領は極貧の中で育ち、自ら大判焼きを売って生計を支えるなど逆境に身を置いていたが、高麗大学を受験して見事合格する。ところが本当に苦労をし、シンが強く、尊敬していたお母さんに、経済的事情から「なぜそんなことをしたのか」といわれてしまう。その家族を見ていた町の仲間の協力で入学金を工面し進学を果たすが、泣かせる逸話だ。

そして、現代建設のトップを経て、2002年にソウル市長に当選。選挙公約に掲げた市内の清渓川の復元事業に取り組み、反対する約20万人もの商人らを説得して高速道路を取り払い、川を蘇らせることに成功した。私が大統領に「川を視察しましたが、すごいリーダーシップを発揮されましたね」というと、「反対が多くて。失敗していたら、もう今(大統領の地位)はありませんでしたよ」とほおを緩ませながら答えていた。

さらに、「寝る間も惜しみ働いていると伺っている」と体を気遣うと、大統領は「そう見えるだけですよ」と謙遜してみせた。実は平日、午前8時前には大統領府の執務室に入っているそうだ。土曜も仕事をしているというから、その猛烈ぶりはすさまじい。なんとか国際競争力のある韓国に押し上げようと努力している姿は、ブルドーザーといわれている通りだ。

会談の本題は、なんといっても日韓新時代の関係強化だ。大統領は「もう一段、レベルの高い日韓関係への道筋をつけていきたい」と意欲をみなぎらせていた。私が「両国が国際競争力を高め、協力することが必要だ」と強調すると、大統領も大いに頷いていた。それには日韓の経済連携協定(EPA)交渉を進展させていくことが課題となる。

また、私が「両国の間にある、歴史的な問題を未来志向の関係にするため、政治家や青少年による重層的な交流が必要だ」と述べると、大統領も賛意を示した。核、ミサイル、拉致などの北朝鮮問題の解決でも意見の一致をみた。

環境問題では、私から、ポスト京都議定書(2013年以降の国際的枠組み)について「韓国にも積極的な協力を要望したい」と求めると、李大統領は「前向きに準備しているところだ」と応じた。韓国の枠組み参加への意欲を引き出せたことは大きな成果だった。

大統領から日本における永住外国人への地方選挙権付与の要請もあった。私も努力する旨を伝えた。

日本は韓国とは時差もなく、シャトル便では羽田―金浦間はわずか2時間。日韓の交流規模は年間計500万人にのぼる。韓流ブームを超え、さらに深く、幅広い交流を行うことで信頼のきずなを一層強固なものにしなければならない。まさに日韓新時代を迎えているのだ。

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