政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

太田昭宏の政界ぶちかまし☆57

2008年4月 1日

読者のみなさんは、買春や性的虐待を受けて撮影された児童ポルノの動画や画像が、インターネットを通じ、全世界にばらまかれている実態をご存じだろうか。幼いころ撮られたポルノ写真をネット上で流され、結婚を断念した大学生の体験談を聞いたことがあるが、心が痛むばかりだ。子どもの一生を奪う映像は決して存在してはならない。

今夏の洞爺湖サミットでは、この問題が必ず議題になる。現行の法律では個人的に児童ポルノを所有する「単純所持」は処罰対象にならない。G8(主要8カ国)で処罰しないのは日本とロシアだけだ。日本=児童ポルノ大国という汚名を今こそ返上しなくてはならない。日本は議長国でもあり、写真所持も禁止することを念頭に、児童ポルノ禁止法改正を推し進める責務があるのだ。

実は先月19日、米国のシーファー駐日大使と会談する機会があった。日米間にはサブプライムローン問題、北朝鮮や米軍再編に絡む北東アジアの安全保障、ポスト京都議定書を巡る米国の協力問題などさまざまな懸案があるが、大使は徹頭徹尾、児童ポルノ禁止法の見直しを私に訴えていた。公明党への熱い期待を感じずにはいられなかった。

また、24日に開かれた「ユニバーサル社会の実現を目指すシンポジウム」でも大使と顔を合わせた。ユニバーサル社会とは年齢や性別、障害の有無にかかわりなく、誰もが個性や能力を発揮する「共生社会」のことだが、こうした場に顔を出す大使の人権意識の高さに感心もした。

公明党は人権の党である。私は、大学は工学部出身だが、わが党には神崎前代表、浜四津代表代行、北側幹事長のように人権派弁護士が多い。「人権」というとなにか難しくなるが、私は「人権とは、生きてきてよかったという感動」だと思っている。人権国家とはそういう権利が確立されている社会なのだ。それには児童ポルノ禁止法改正も必要だし、ユニバーサル社会の実現も急務だ。国会では与野党のガソリン税を巡る攻防ばかりがクローズアップされているが、本当はこうした人権問題に焦点を当て、21世紀を「人権・人道の世紀」にするということも政治家の重大な職務なのだ。

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