政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

太田昭宏の政界ぶちかまし☆60

2008年5月28日

私が17日、福田首相と3時間も2人きりで話し込んだことがいろいろな憶測を呼んでいるようだが、実はこの時、12日に発生した中国の四川省大地震対策についても時間を割いて対応を協議した。この地震のマグニチュードは7.9で、エネルギーは阪神淡路大震災の32倍にも達している。死者は8万人に達するとみられ、数千人がいまだに倒壊建物の下敷きになっている。

私は京大土木工学科や大学院で耐震工学を専攻し、昭和40年代は地震調査や実験に明け暮れ、政治家となっても地震対策に積極的に取り組んできた。地震の翌日には中国大使館で崔天凱大使と会い、「日本には災害救助のいろいろなノウハウがそろっているので、支援したい」と伝えていた。

こうした私の来歴を知っていた福田首相は「太田さんは地震の専門家だから、震災対策のノウハウを中国政府に伝えてほしい。そういう人材を中国政府は必要としているんだ」と熱く語ってきた。震災後は、救助、避難所、仮設住宅、食料、2次災害、疫病、ストレスなどの対策が重要になってくる。実際、日本にはそのノウハウが一番蓄積されているのだ。

そして中国は日本政府の地震対策の実績を評価したのか、世界各国に先駆け日本の国際緊急援助隊を受け入れた。

政治の基本は、「治山・治水」=「安全・安心」の精神にある。生活のライフラインだけでなく、私は救命のライフライン(病院での手術や透析中の電力確保など命に関わるインフラの特別整備)を確立せよと主張している。

仮に今、M7クラスの首都直下地震が発生すると死者は11000人、経済的被害は約112兆円にも達する。地震予知は難しいから、こうした被害を少しでも減らす減災対策が必要となってくる。

例えば、学校施設の耐震化は一刻も早くやり遂げなくてはならない。子どもの安全確保とともに震災後には避難拠点にもなるからだ。福田首相とは補助金の増加で学校の耐震化を図ることで一致したが、そもそも公立の小中学校校舎の耐震化率は現在、約6割に過ぎないのだ。

「災害は忘れたころにやってくる」というが、地震の活動期といえる今、備えは緊急を要する。政府は常に最悪のケースを想定し、災害施策を推し進めていかなくてはならない。

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