政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

太田昭宏の政界ぶちかまし☆71

2008年11月18日

政府・与党は12日、総額約2兆円の定額給付金を決めた。国民1人当たりの給付額は1万2千円。さらに65歳以上と18歳以下には8千円が加算される。給料が上がらない。物価が高止まりしている。そうしたなかで庶民の生活を支援し、あわせて消費を下支えする緊急対策だ。

所得制限を設けるかどうかについて、政府・与党の"迷走"ぶりを批判する声もあったが、各市町村が実情に応じて決めることになった。下限は1800万円で、収入から必要経費や給与所得控除を控除した額なので、年収換算すると約2千万円にあたる。これだけ高額の人は極めて少なく、人口の約1%だ。

私は、この3カ月、定額減税・給付の必要性を幾度となく、街頭演説や講演会などで訴えてきた。この話をすると、高齢者や子育て奮闘中のママさんからは、自分でも驚くぐらいの拍手をもらった。庶民の生活は苦しく、まさに灼熱の砂漠で水を得るような思いが伝わってきた。「わが家は一体、いくらもらえるのか」「子供が喜ぶプレゼントは何か」などと心待ちにし、メモ帳に購入リストを書いている人もいるという。だが、同時にこの定額給付金について「バラマキだ」「使わないし、経済効果はほとんどない」という指摘も聞こえてくる。

正直いって、庶民感覚の欠如、そしてこれから日本も世界も大変な経済状態になるという危機感の欠如だと私は思う。スーパーでは生鮮食品や惣菜の値引きが行われる時刻を狙い、少しでも節約したい庶民が買い物をしているのが現状だ。私は地方を回り、何度も「生活が苦しい」という庶民の声、中小企業経営者たちの悲鳴を聞いてきた。

だから、この給付金が使われないということは考えられない。間違いなく、消費の下支えにもなり、あるシンクタンクの試算ではGDP(国内総生産)を0.4%押し上げるとその経済効果をはじき出している。

私は常々、霞ヶ関や永田町で椅子に座って数字だけで世の中のことを分析・判断することに危険性を感じている。とくに官僚と異なり、政治家は生活の現場に行かなくてはならない。現場では「理論」ではなく「共感」が大切なのだ。数字=統計は判断材料の一つとしてとらえなくてはならないが、生活実感、現場の側に立った視点がないまま、政治ができるはずもない。
(公明党代表)=隔週火曜掲載

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