政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

太田昭宏の政界ぶちかまし☆77

2009年2月24日

17日夜、来日した米国のクリントン国務長官と会談した。1月に発足したオバマ大統領は欧州にバイデン副大統領、中東にミッチェル特使(元民主党上院院内総務)、そしてアジアには要であるクリントン長官を派遣したのだが、真っ先に訪れたのは日本だった。

クリントン長官は記者会見で「麻生首相は、オバマ政権がホワイトハウスに招待する最初の外国のリーダーだ」と述べ、米国で行われる日米首脳会談が世界に先駆けて行われることになった。日本重視の姿勢がひしひしと伝わってきた。

かつて理屈っぽいと指摘されていたクリントン長官だが、実際に目の前で話すと、フランクな語り口と気配りが伝わってきた。真摯に話を聞く様は魅力的で、華があった。日本の良き理解者であると確信した。

以前夫のビル・クリントン元大統領が中国を重視し、「ジャパンパッシング(日本素通り)」と揶揄された。このため夫人の訪問は、その償いという評論もあったほどだが、実際に会ってみて、そんなレベルの訪問ではないと感じた。

オバマ政権は国家戦略として日米関係は極めて大事であるとみて、「ジャパンファースト(日本優先)」ともいうべき親日外交を展開しようとしている。

従来の日米政府間の会談は同盟国という建前はあったものの、米軍基地などの安全保障、貿易などの経済摩擦の2つの問題について海を挟んで論争するのが通例であった。

だが今回の日米会談は違った。外相会談では、「北朝鮮」「気候変動」「中東」「軍縮」など多岐にわたるグローバルな問題が話し合われ、クリントン長官は「日米同盟は私どもの外交政策のコーナーストーン(礎石)だ」と発言したのだ。そこには世界の諸問題を同じ価値観で共有し、協力して解決する関係でありたいという思いがはっきりと表われていた。

しかもオバマ政権は軍事力のハードパワーだけでなく、価値観や文化的影響力などのソフトパワーを組み合わせた外交・安保戦略「スマートパワー」で世界と対峙しようとしている。日本は文化、環境分野などの非軍事のソフトパワーが十分に備わっているので、まさに両国はベストカップルという認識もある。

24日の日米首脳会談では経済危機を中心に、アフガン・パキスタン、気候・環境問題などが話し合われる。新しい日米関係を世界に発信する重要な場となる。そのためにも経済危機を打開する国内政治の前進が大切だ。両国が一致して難局に立ち向かえるように野党の抵抗を乗り越え、来年度予算案の早期成立に邁進していきたい。
(公明党代表)=隔週火曜掲載

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