政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

太田昭宏の政界ぶちかまし☆79

2009年3月24日

16日からトルコのイスタンブールで、水をめぐる環境問題や衛生問題などを話し合う国際会議「第5回 世界水フォーラム」が開催された。皇太子様が出席、講演されたが、世界の各界から多くの人が参加した。また、欧州の「水メジャー」が日本に本格参入しているとの報道もある。昨年の洞爺湖サミットでは、「良い循環型水資源管理は、極めて重要である」という首脳宣言が採択された。水への関心は急速度に高まっており、公明党も「水と衛生に関する検討委員会」をスタートさせた。

日本人は水に恵まれ、「水は天から降ってきて、平等に誰にも与えられるもの」と考えがちだ。しかし、「20世紀は石油を巡る争いであるなら、21世紀は水を巡る争いの世紀になる」といわれるほど、水の世紀の現状は厳しい。しかもそれが顕在化している。

現状をいえば世界では約11億人が安全な水を確保できず、約26億人が衛生設備のない地域に住み、なんと毎年180万人もの子供が水と衛生の問題により死亡しているというUNDP(国連開発計画)の報告がある。これが、人口増や新興国の工業用水需要の増大等によって更に拡大する可能性がある。その危険性の2/3ほどはアジアに集中する。上下水道の整備が不可欠であり、我が国も積極的に支援していかなければならない。

地球温暖化は水不足をもたらし、干ばつと洪水の増加は農業にも深刻な打撃を与え、悪循環をもたらす。オーストラリアの干ばつや、世界各国の洪水の大規模化と頻発は知られるところだし、昨今の日本における異常な渇水とゲリラ豪雨は実感するところだ。

日本も安心しておれない。水質の安全性、経営基盤の強化、持続可能性にかかわる制度の劣化、農業の衰退など、今こそ総合的・本格的に水と衛生問題に取り組む時だ。

3年前、第4回世界水フォーラムに出席した橋本龍太郎元総理が、帰国して水の重要性を熱く語っていたことを鮮明に覚えている。橋本元総理は、この水の話とペルーで起こった日本国大使公邸占拠事件の話を私にして、これが最後の遺言のようになった。水問題は、人類の根源的問題だ。ここにも世界の協調と政治のリーダーシップが試されている。
(公明党代表)=隔週火曜掲載

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