政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

太田昭宏の政界ぶちかまし☆82

2009年5月12日

先日、バリアフリー映画「THE CODE/暗号」の試写会に行った。

尾上菊之助氏が演じる主人公、暗号解読の天才「探偵507」が、危険な任務に挑むハイテンポのアクション映画だが、通常の映画と違い、少し工夫されている。視覚障がい者用の副音声や聴覚障がい者用の字幕が付いており、みんなが楽しめる「バリアフリー」の映画なのだ。試写会では副音声解説を弁士が生で見事に語っていた。

私自身、高齢化社会に対応して街や施設のバリアフリー化を強く推進してきたし、推進のためのバリアフリー法やハートビル法なども制定した。さらに電子タグをはじめコンピューターを社会のあらゆる装置に組み込んだユビキタス・コンピューティングなど、社会インフラも重要だ。それは高齢者や障がい者にも大きな力となる。

今回のバリアフリー映画ではアクションの分野に初めて挑戦したもので、鑑賞した多くの方が、特に目や耳に障がいのある方から「こんな世界を初めて知った」と感動の声が寄せられているという。本当にうれしいことである。

文化・芸術の力は大きく、アートはボーダレスだ。壁を突き破る力がある。実は1929 年の世界大恐慌からの脱出戦略にも文化・芸術の振興が寄与している。ニューディール政策ではTVA(テネシー州流域開発公社)などによる大規模な公共事業が知られている。

もう一つ、不況で苦悩する国民に自信と一体感を与えるとともに、失業対策になるとの考えで、文化・芸術振興策が推進された。連邦美術計画、連邦音楽計画、連邦演劇計画??。いずれも大規模な劇場を建設したり、数万人の芸術家を雇用したりして底上げを図った。ハリウッドやブロードウェイ、そして有名なチャップリンもディズニーも、そうした中で成長してきた。

翻って日本の現状は景気対策、新型インフルエンザ対策など、息の抜けない非常事態が続いている。ともに世界の協調、そして切れ目なき万全な態勢が不可欠だ。政府・与党としても今が踏ん張りどころであり、さまざまな対策に全力をあげる覚悟だが、文化・芸術分野に力を入れることも大事だ。私はこれにスポーツ分野への取り組みも加えて、人間の内なる力をもっと豊かに、もっと広げることに、力を注ぎたいと思っている。

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