政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.11 少子高齢社会の劇的な構造変化

2010年6月10日

「日本の未来に対するビジョンを示せ」と言われることがある。しかしよく聞いてみるとイデオロギッシュな国家像を求めているのではなく、未来に対する不安を除去する「生活ビジョン」であることが多い。かなり現実的、生活に密着した安心社会をどう築くか、再建するかということだ。

ベルクソンは「問題は正しく提起された時にそれ自体解決である」と言った。現在の日本社会の構造変化をどう直視するか――。私はグローバリゼーション、少子高齢化、環境の制約の3つが、劇的な構造変化だと思う。この変化に対応できてないから、未来への不安が増幅する。時代の変化を嗅ぎ取るセンサーをもつこと、政治のリーダーシップの大切さがそこにある。

少子高齢化。人口の推移は経済(成長にも、内需ということにも)や社会保障の仕組みにも決定的に影響を与える。

日本は2004年、総人口1億2779万人をピークに人口減少社会に入った。2009年は、1億2756万人で総人口に占める65歳以上の割合は22.5%だ。そして2055年の人口推計(中位推計)は8993万人、65歳以上は3646万人と推計され、なんと40.5%を占める。しかも、この40%という比率はその後も変わらず続くとみられている。

また、2008年でいえば、534.7万人(0?5歳、4.2%)、573.6万人(5?9歳、4.6%)、593.5万人(10?14歳、4.7%)、607.4万人(15?19歳、4.8%)となり、20代は1424.9万人(11.4%)、30代は1820.7万人(14.5%)、40代は1590.8万人(12.6%)、50代は1749.5万人(13.9%)、60代は1690.1万人(13.5%、60?64歳は890.2万人で7.1%、65?69歳は799.9万人で6.4%)、70代は1261.2万人(10.0%)、80代は620.9万人(4.9%)、90以上127.6万人(1%)となっている。

出生数の推移は昭和24年の269.6万人を最高にして、次のピークは団塊ジュニアの209.1万人(昭和48年)、そして最低は5年前の平成17年の106.2万人だ。100万人を切ったことはないが、社会保障関係者も人口がここまで下がるとは思っていなかったというのが現状だ。

影響は大きい。
(1)社会保障を若者が担うとしてきたが、かつてはお御輿、今は騎馬戦、これからは2人でお年寄をかつぐ"かごや"、そして2055年には肩車になる
(2)団塊の世代が人口ボーナスによって成長のエンジンとなったが、団塊ジュニアが雇用で苦しみエンジンとなっていない
(3)年齢1桁台に塊(かたまり)が形成されていない
(4)都市の高齢化、地方の過疎が進み、財政の破綻、社会的なサービスや施設(警察、消防、病院、学校・・・)の維持が困難になる。

人口の減少、その中身が少子化、高齢化という事態は深刻だ。雇用をとってみても60代以上にも雇用がある社会は当たり前のこととしなければならない。雇用で大変苦しんでいる団塊ジュニア30代に、もっと応援をしなければ日本の未来はない。ワーク・ライフ・バランスに力を入れなければ、女性の社会の活躍のシステムも急ぎつくらなければならない。

サザエさんの磯野波平さんは60年前から同じ年齢、なんと54歳だという。マスオ28歳、サザエ24歳、すでに3歳の子供がいる。波平さんの顔も頭も今は70歳台だろう。24歳で3歳の子供というのも今は少ない。家族形態、雇用形態の激変は、社会の中での年齢や人口にも相当起因している。

少子化対策、子育て支援策が抜本的でなくてはならないとともに、社会保障システム、雇用のあり方等々、構造的に打開しなければならないことがヤマほどある。民主党政権になって8ヶ月、本格的な真剣な論議と提案が何もない。表面的な鳩山退陣――表面的というのは、私は問題をとらえる真剣さと力自体が欠如していると感じているからだ。

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