政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.14 景気が悪いのになぜ円高か――「ルーズベルト不況?」と政府無策

2010年8月20日

本当に頭がクラクラするような暑さです。回っていると「太田さん、何とかしてよ」と必ず言われます。「何とかしてよ、景気を」が多いが、最近は「何とかしてよ、この暑さ」とも言われ、苦笑します。そこまではできませんが、景気は何とかしなければ政治ではありません。

政府は何もしない。「政治空白だよ」という声があふれています。景気・経済に何の手も打たない。ひどいものです。政府の経済状況認識が全く誤っており、しかも深刻さが全く分かっていないことは情けないといわざるを得ません。

1つは、「100年に1回といわれたリーマン・ショックの余震やまず」という認識が日本はあまりに希薄だということ。ドバイ・ショックもギリシャ・ショックも「余震やまず」の表れであり、これまで何度も私が報告してきたように「世界は晴れ(東アジア、ブラジル等)、曇り(日、米、英)、雨(PIIGS=ピッグス。ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペインの5カ国)の3極分化」しているということです。そういう意味では、世界が挙げて景気・経済の建て直し、景気対策に協力しなければならないということです。6月のG20はその意味で景気対策、財政出動、財政再建の主張が国ごとに入り乱れ、極めて心配なまとめ方だったと思います。

今は非常時であり、非常時の経済政策が大事であるという認識を持たないと大変です。

標的にされる日本
もう1つは、日本が全く景気・経済に力をいれてないから、世界からいいように標的にされているということです。民主不況であり、この政権は全く景気・経済に無関心。企業の苦しみにも全く無関心のようです。

「日本は景気が悪いのに、どうしてこんな円高になるのか」ということを本当に考えないと、政治をしているとは全く言えません。変な話でしょう。今回の米国の金融緩和はキッカケにすぎません。景気がびっくりするほど悪いのは日本です。

先週、GDP(国内総生産)の数値が発表された欧州は「ユーロ安のおかげで予想以上の好景気」であり、米国も4~6月期の名目GDPの規模は何と最高を更新し、日本に比べれば、はるかに良い状況です。結局、なんだかんだと理屈をつけて、発言力のない"沈黙の日本"にシワ寄せをしている結果が、今の円高です。

景気対策を果敢に打て
16日、4~6月期のGDP統計が発表されました。予想よりはるかに悪く、年率換算で前期比実質0.4%増(名目3.7%減)と鈍化し、日経平均株価はこの日100円以上下落して取り引きが始まりました。市場金利も下落(つまり債券価格は上昇)です。いずれにしても、個人消費は名目年率1.3%減、特に公共投資(公的資本形成)は名目年率11.5%減と、経済の足を大きく引っ張っています。また、GDPデフレーターは、前年同期比でマイナス(1.8%減)から脱却できず、世界が恐れているデフレに、どっぷり深く浸かっています。

こんな中で「財政再建=消費税上げ」などを論議するといい、それ以外は全く発信も行動もしていない民主党政権。1937年、ニューディールと呼ぶ不況対策、景気刺激策を打ち続けたルーズベルト大統領は、緊縮財政と増税にカジを切り、ルーズベルト不況といわれる景気悪化の状況をもたらしました。歴史の教訓です。

誤った経済運営で日本経済が標的にされるということを許してはなりません。需給ギャップが30兆円を超える今、消費の低迷と投資不況の合体の現状を必死で打開することが緊急課題です。今、非常時の経済政策を果敢に打つ時です。追加経済対策(補正予算)をやるべきです。そして民主党のマニフェスト(サギフェスト)でやったバラまきを景気に役立つものにシフトすべきです。

「何とかしてよ」――今の暑さは自分たちには何ともなりませんが、景気・経済は公明党が真剣に頑張る以外にないと決意しています。

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