政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.15 リーマン・ショックの余震やまず 断固たるデフレ、景気・経済対策!

2010年9月20日

「春秋の中、君を弑すること三六、国を滅ぼすこと五二、諸侯奔走してその社稷を保つを得ざる者、勝げて数うべからず。そのゆえんを察するに、みなその本を失えばなるのみ」。

国が滅びるのは偶然などではなく、為政者が人間の基本を失うからだ――有名な司馬遷の「史記」の一節である。私は衆議院本会議でもこの警句をしばしば使った。

「ローマは一日にして成らず」と言うが、そんなローマがなぜ"三世紀の危機"と呼ばれる未曾有の危機に遭遇し、衰亡していったか。塩野七生氏は、今話題の著書「日本人へ リーダー篇」の中で、政策の継続性の欠如を指摘し、こう言う。「危機の時代は、指導者が頻繁に変わる。首をすげ代えれば、危機も打開できるかと、人々は夢見るのであろうか。だがこれは、夢であって現実ではない」「危機の打開に妙案はない。......やらねばならぬことはわかっているのだから、当事者が誰になろうと、それをやりつづけるしかないのだ」――。

今、日本の課題は何か。誰に聞いても、どんな世論調査でも明らかだ。第一に景気・経済の回復。第二に年金・医療・介護などを充実・安定させて、生活不安を除去してほしい――ということだ。やり続けるべきことは明らかだ。この二つをブレなく主張し、やり続ける。そこにエネルギーを100%投入する政党・政治家がほしいと国民は思っているのに、政府与党の迷走と「内向き・下向き・後ろ向き」の姿勢はひどい。知人の米の学者が最近、「日本は不幸ですね。政治指導者に恵まれなくて」と言ってきた。

この一年、経済については、間違いだらけの逆噴射政策が行われた。百年に一度という世界経済の危機は今も続いている。リーマン・ショックの「余震やまず」という認識が日本は完全に欠如している。ドバイ・ショックに驚き、ギリシャ・ショックにおびえ、円高にあわてている。今回の「円売り介入」もあまりに遅い。

大事なのは、日本経済が回復へ力強く向かう方向性が示され、「やり続けている」かどうか。日本経済の実力が問われているのに、長期の戦略がなく、一方、短期の金融・財政政策がいつもツーリトル、ツーレイトだ。今回もそうだ。しかも、昨年来の逆噴射政策、世界をあげて「財政出動等あらゆる行動をとる」(昨年4月のG20)ことで協調体制をとってきた時に、常に反対の、景気に役立つ予算の削減をし、景気対策として役に立たないものにはバラまきをするという逆走・乱暴なことを繰り返してきたのが日本だ。

この世界で日本だけの逆噴射政策が、先頃も消費税問題で繰り返され、「増税しても景気回復に寄与するものもある」などとトリッキーな理論が説かれたりする。各国は今、自国の為替切り下げ競争に入っているが、無策を続けたあげくのはてに世界からいいように標的にされた"沈黙の日本"――それが今回の円高だ。今後、投機筋の円買い、押し合いが繰り返されるから油断なき対応が不可欠だ。

政府は、予備費を使って9200億円の緊急経済対策などと言っている。本気ではない。4兆円を超える景気・経済対策、補正予算を強く求める。

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