政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.16 深刻化する「うつ病」への対策を!

2010年10月 8日

この数年「うつ病」が深刻な問題となっている。「一生懸命働いていたが、心身ともに消耗して出社できなくなった」「今まで普通にできていた家事ができない」「親の介護をしていたが、家の中がギクシャクし、自分も眠れなくなって体調を崩した」――など、以前とは全く様相を異にした事態が広がっている。自殺者3万人にも、生活保護世帯の増加にもきわめて関係が深く、総合的なうつ対策が急務だ。

いまや先進国において「精神疾患」は、「がん」と「循環器系疾患」と並んで三大疾患といわれる。データを見ると、平成20年のうつ病患者数は平成8年比で3.4倍。この数は病院にかかった人の人数だが、20万人から70万人に膨れ上がっている。双極性障害(躁うつ病)や気分変調症を加えた気分障害患者数は104万人(H20年)になる。医療未受診者も含めたうつ病患者数は推定値だが250万人を超えるとみられている。身近なところで、これだけの人が苦しんでいるわけで、公明党としては私の代表時代から対策に乗り出した。公明党が、がん対策を主導してきたことは「がん対策基本法」の制定をはじめ、5歳刻みの検診、そして子宮頚がん予防ワクチンの公費助成の推進など知られていることだが、「うつ対策」もそうだ。

「うつ」は多様化している。そして増えている。「介護うつ」に対応することも当然大事だが、確実にいえることは、勤労者の世代のうつ問題が大きく、ここにきちんと対策の手を入れる必要がある。従来型うつと違って、若者を襲っている「新型うつ」「未熟型うつ」が増えており、これへの対応も不可欠だ。

近年、認知行動療法が注目を集めている。薬物療法は当然大事な柱だが、自分に対するネガティブな思考、"認知の歪み"に気付き修正していくこの療法も柱になりつつある。欧米に比べて遅れているが、この療法を身に付けた精神科医や臨床心理士等の数が限られており、普及や研修制度の充実が急務となっている。

国や地域、そして職場での体制も相当踏み込む必要がある。

(1)うつ病の早期発見、早期治療の推進(うつ病の対応力向上への研修事業の拡充、事業者・産業医・主治医・学校医等のネットワーク機能の充実)
(2)受診率の向上(今は4分の1しか受診していないとみられるが、欧米並みの5割以上)
(3)うつ病治療における精神療法、認知行動療法の拡充強化
(4)安心して治療に専念できる社会づくり(労災の休業補償の充実等)
(5)勤労者、家事労働者の社会復帰プログラムの整備・拡大――など、やるべきことはヤマほどある。

時代の大きな構造変化に全力で取り組む――それが政治の役割だと私は思う。

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