政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.23 「早寝早起き 朝ごはん」――身近な教育運動に成果

2011年2月17日

教育の重要性は誰しも指摘するところだ。「不安と閉塞感が蔓延する日本」に「怒らない若者たち」がいる。村上龍氏の「逃げる中高年、欲望のない若者たち」(KKベストセラーズ)には、欲望のない、楽しいことがないような若者の背景に逃げる中高年がいる。しかし、若者は怒らないし、黙って、素直で、良い子(年齢はいっているのに)でいる。ストレスを会話のなかで解消するかと思えば、直截にモノをいうことを押さえ込んで「ビミョー」などの表現で済ます。そして鍛えられることなく、社会に放り出される若者が描かれている。

たしかに、「巣ごもり、内向きでおとなしい若者」の傾向は、留学生の減少、商社でさえも海外赴任を断る人が続出、海外旅行も激減、車も免許も持たない、飲酒などでバカ騒ぎしない(別に悪くはないが)、ムリはしない若者など、あらゆる場面で顕著だ。そのおとなしい若者が、人口減なのに就職できない現状。応援が必要だ。

教育は「現場に知恵がある」
教育については、日本の全ての人が教育の経験をもつがゆえに、100人集えば100通りの教育論があり、合意はそう簡単ではない。理念や哲学の次元もあれば、現場の知恵というのもある。しかし、教育改革の基本は「現場に知恵がある」ということだろう。

最近、うれしい話を聞いた。平成18年に始まった「早寝 早起き 朝ごはん」運動が効果を発揮しているという話だ。この考え方を進めた者の一人としてうれしいことだ。百マス計算で知られる陰山英男氏が、日本社会の夜型化が進み、生活習慣の乱れが知力、体力の低下につながると指摘し、「早寝早起き 朝ごはん」を提唱した。私も全く同感、政府に働きかけ、政府の運動として結実した。文科省が頑張ったことはいうまでもない。

それから5年、朝食を食べる児童生徒の割合が10%以上上昇(平成22年度で小学6年が89%、中学3年で83.6%に)したようだ。朝食を食べなかった子が食べて来るようになると学力が上がるというデータもある。体力も、集中度もだ。「睡眠が心を強くし、頭をよくする」「元気に過ごす脳内物質は早朝に大量に分泌される」「生活習慣にリズムができる」という訳だ。どうしても寝る時間が遅くなりがちだが、親の意識改革がもっと進むと、より効果は上がる。

「読書、手伝い、外遊び」運動
この「早寝早起き 朝ごはん」とともに、教育関係者のなかから「読書、手伝い、外遊び」運動が提唱され始めた。「かわいい子に体験を!」ということで、子どもの頃の体験は人生の基盤、その後の人生で重要な資質・能力が体験の力として育まれるということだ。教育を論ずると、どうしても大上段、理念や抽象的なものから入りがちだ。それも大事だが、身近なところ、できるところ、一寸した意識改革から今すぐ始めることも大切なことだ。

「早寝 早起き朝ごはん」「読書、手伝い、外遊び」、そして私たちが進めてきた学校での朝の10分間読書運動、あるいは小さいお子さんに、読み聞かせの読書のスタート「ブックスタート」運動など、重要なことだと思っている。「教育がダメだ、ダメだ」と言っていないで、一歩でも進めることの意義は大きい。

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