政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.28 菅民主党政権では復旧・復興はできない

2011年6月20日

東日本大震災の復旧、復興が遅れている。「政治は何をしているのか」というが、いくら動いて提案しても今の菅政権から答えが返ってこない。ガレキ処理も二重ローンも、仮設住宅を人の息づかいと声が交いあうものにと訴えても、原発の汚染水処理も放射能汚染の深刻な問題も「遅い、にぶい、心が無い」状況だ。推進力となるべき菅民主党政権が液状化し、漂流し、今や「菅政権はダメ」との大合唱が、民主党の中からも、財界、識者、文化人、労働界からも噴出している。

あたかも船頭のいない船のようなものだ。仕事はチームワークでやるものだが、全くバラバラ、内輪モメを見せ付けられて、怒りを通り越して日本中が無気力になりかけている。これが最も危険だ。「信なくば立たず」――信頼をなくしたら政治は立ち行かない。日本の政治史上、最悪の政権。これでは復旧・復興も日本の再建もできない。

とくにこの6月、菅民主党は、日本の政治をこわした。政治は第一義的には政府が推進する。与党が担う。そして国会の論戦によって批判をあおぎ、評価を問う。野党は積極的に論戦を挑み、提案もする。国民からの信頼を得て、権威ある政治が貫かれる。その信も権威もあったものではないというのがこの6月だ。

「菅はいつまでやるんだ。辞めると思わせておいて、辞めないと前代未聞のひっくり返し」「首相を前首相が詐欺師だ、ペテン師だと発言」「国会会期を延長しないと言っていて、追い込まれると延長」を言い、「第2次補正は8月以降と言っておいて、延命のため、すぐ出せと指示」をする。挙句の果てに「1.5次補正ともいうべきものを出す、と国会史上あり得ない発言をする」「メドとして仮設住宅が出来上がるまで、ガレキが処理されるまでは......」「原発が冷温停止することを発言し、マスコミは来年1月と見出しをつけたりする」――「見苦しい」ありさまだ。

私が驚くのは、与党民主党が国難に真正面から対峙するのでなく、その場しのぎの国会対応や「次の代表は......」と浮足だっていることだ。6月2日の大茶番劇(?)は情けない極致だが、あの菅・鳩山の合意ペーパーの第1が「民主党を壊さないこと」であったことはこの国難・大震災のなかで恐るべきことだ。菅首相のみならず、政権与党であり続けることに汲々とする――今は、リスクをとっても、身を捨てても国家国民の為に戦うところにしか政治はない。

6月16日、佐々木毅元東大総長などの21世紀臨調が緊急提言を出した。「政党自身の求心力は解体傾向を深め、政権は摩滅する一方の状態にある」「民主党は政権と政党の統治に相次いで失敗し、マニフェストの信用を失墜させ、日本国総理大臣の地位と政治主導の名を地に墜しめた」と指摘し、「それら一連の失態は本来であれば下野に値するものといわざるを得ない」と断じている。そして、与野党、国民の自覚をうながしつつ、「会期末までに首相は退陣の時期を明らかにせよ」「大連立という言葉よりも、期間限定の○○特命政権を」といい、野党第一党に首相の座を譲れとまで呼びかけている。

「信なくば立たず」「利して利する勿れ(政治と行政に携わる者は、国民の利益の為に働くべきであり、自分の利であってはならない)」――基本に立って、大胆に政治を変えないと日本再建どころか取り返しのつかない事態となる。

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