政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.29 菅民主党政権は「遅い、にぶい、心がない」 「信なくば立たず」「利して利する勿れ」

2011年7月 5日

東日本大震災から4か月が経過しようとしている。暑い夏が迫ってきており、被災地は過酷な夏となる。一刻でも早く、復旧・復興を進めなくてはならないが、遅れている。とくに福島第1原発は、冷温停止への工程、汚染水の処理、地域の放射能汚染の問題と、いまだ不安定。不安の中にある。

「遅い、にぶい、心がない」――菅民主党政権へのいら立ちはますます募っている。ましてや菅民主党政権の6月2日の「菅内閣不信任案」をめぐる茶番劇、会期延長をめぐるドタバタ劇は、日本の政治史上、最悪の政権。これでは復旧・復興も日本の再建もできないことを露呈した。現首相を前首相が詐欺師だ、ペテン師だと怒りの発言をする。会期延長をめぐって自公民三党幹事長の合意をひっくり返す。「やめよ、やめない」の争いばかり。首相と幹事長と官房長官の言うことが異なる。国家中枢がメルトダウンし、責任の所在がわからない。

「遅い」――ガレキ処理も、仮設住宅も遅れ、二重ローン問題も、原発対応も遅れ、後手後手だ。我々がいくら提案しても、答えがなかなか返って来ない。

「にぶい」――危機感が本当にわかっていない。「現場には優先順位がある」と私は現地に行くたびに感じて動いてきたが、現場の直面している苦難をとらえ、切り拓こうとする危機感、責任感がない。

「心がない」――原発、放射能の汚染におののき、子どもや身体の弱い親、そして「家畜は俺の家族だ」と言う人の心や涙がわからない。

それに加えて、菅民主党政権は「結束がない」。いざという時に「結束できない」「責任を転嫁する」――そうした組織はいかなる世界でもダメだ。チームワークがあってこそ、仕事はできるものだ。"船頭なき船"でどうしてこの未曾有の国難を打開できようか。

菅民主党政権は、日本の政治を壊した。6月16日、佐々木毅元東大総長などの21世紀臨調が緊急提言を出した。「民主党は政権と政党の統治に相次いで失敗し、マニフェストの信用を失墜させ、日本国総理大臣の地位と政治主導の名を地に墜しめた」とし、「一連の失態は本来ならば下野に値する」と言っている。

また「内閣不信任案をめぐるドタバタ劇は、民主党政権の大いなる劣化と日本政治の混迷を印象づけた。国家としての日本がメルトダウンし、国民の生命も国益も脅かされるばかりだ」と政治学者が警告する。

私は、今の民主党政権に、政治家のもつべき「危機感」と「責任感」があまりにも欠けていると思う。「次の総理は誰がいいですか」などと民主党議員に聞かれるとガックリする。「普天間」「尖閣諸島」などをはじめ、外交を崩し、バラマキの"サギフェスト"で経済・財政を崩し、東日本大震災で危機管理体制を崩し、この6月は国会や政党政治の権威・信頼を崩した。とくに私が問題だと思うのは、何があっても誰も責任をとならい、ということだ。

「信なくば立たず」(論語 顔淵第十二)――為政者への信頼がなかったら国家も人もたちゆかない。

「政は正なり」――おなじく顔淵第十二にある。政治の基本は正しき道義である。それが乱れたら社会は混乱する。政治家の守る規範なくして、政治は成り立たない。

「利して利する勿れ」(周公)――政治と行政に携わる者は、国民の利益のために働くべきであり、自分の利益をはかるようなことをしてはいけない。

「綸言汗の如し」(漢書 劉向伝)――国を治める最高の地位の者は、一度出した言葉を、取り消すことができない。

「知る者は言わず、言う者は知らず」(孟子)――知恵のある者は言葉が少なく、言葉の多いものは知恵が少ない。

「朽木は雕(ゑ)る可からず。糞土の牆(しょう)は?(ぬ)る可からず」(論語 公冶長第五)――朽ちた木には彫刻はできないし、壊れた土塀は修復は不可能だ。

「過ちて改めず、是を過ちと謂う」(論語 衛霊公第十五)――過ちを犯したのに改めない。これが真の過ちである。

まさに人間の基本に立ち「危機感」「責任感」をもって、政治はこの国難に立ち向かわねばならない。

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