政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.32 「円高、電力不足、政治の混迷」への悲鳴 貫け!しっかりとした復興支援と成長戦略

2011年9月 5日

円高が続いている。8月19日には円相場が一時、75円95銭となり、戦後最高値を更新した。欧米の財政不安、世界経済の先行き不安が強まったことが背景にあるが、24日はムーディーズ・インベスターズ・サービスが日本国債の格下げを発表し、日本の財政リスクや成長力の弱さに警鐘を鳴らしている。事態は深刻。大企業・中小企業と懇談しても、「円高、電力不足、政治の混迷の3つだけは、とにかく何とかしてほしい」と悲鳴があがる。

問題の円高――。いつも思うのは傍観しているような政府・日銀の後手・後手だ。東日本大震災の政府・民主党に対して私は、「遅い、にぶい、心がない」と批判してきたが、円高対策についても「遅い、にぶい、戦略がない」と言わざるを得ない。不況下の自国通貨高はどの国も忌避し、切り下げ競争に走る。結局、政府・日銀の動きが緩慢で、政治のカジとりが混迷している日本にシワ寄せされている。

円高をもたらしている国際金融市場の激震の根は深い。リーマン・ショックからちょうど3年――。その後遺症を引きずり、世界のあちこちで深い穴が口を開けている。今は、国際金融危機の第二幕に突入したという危機感を持つべきだと思う。その変調は、昨年の5・6月にある。「リーマン・ショックの余震やまず、との認識をもて」と私は当時、ギリシャ・ショックにおびえて、各国が緊縮財政に走り、不況脱出への世界協調に乱れが生じていることに警告を発した。結局、リーマン・ショックの出口戦略どころか、各国が深い穴をかかえこんで、今日の事態に陥っている。

欧州は、ギリシャなどのPIIGS(ピーグス=ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)といわれる南欧問題が震源だったが、イタリア、スペインのみならず、市場にはベルギー、フランスまでも疑心暗鬼が漂う。通貨ユーロに内在する各国の不均衡問題が解決しない以上、その都度の対応をしたとしても、構造的にうち続く問題だ。欧州では昨年6月以降、金融緩和停止、南欧周辺国への財政負担増大、ソブリンリスクの拡大という経過をたどっているが、ユーロシステムの欠陥が露呈しているがゆえに根は深い。

リーマン・ショックの震源地・米国は、先日、米国債が最上位の格付けを失うという衝撃が走った。巨額債務がのしかかり、債務上限引上げをめぐっての議会対立、オバマ大統領のリーダーシップへの不信増大などが加わり、基軸通貨ドルへの不安が広がっている。根本的問題は、景気失速リスク、二番底への懸念だ。

中国は、リーマン・ショックをほぼ1年で乗り越え、その景気上昇が世界経済を牽引した。国際資本の流入超過があり、ここはインフレ・リスクだ。金融引締めが、住宅価格高騰にブレーキをかけ、景気鈍化が懸念されることもある。外貨が急増し、為替市場に影響力を増やしている中国は、この国際金融危機に対して、その混乱と対外ショックへの対抗政策を「柔軟」に検討しようと動き始めたようだ。その動向は世界に大きな影響を与える。

日本は、リーマン・ショックを"全治3年"とうたったが、ちょうど3年になる。自公政権ではそのために思い切った景気・経済対策を打って、回復軌道に乗せたが、民主党政権の成長を促す予算を取り上げていく逆噴射政策、そして今年3月の東日本大震災・原発事故で、景気回復の芽がつぶれ、デフレ不況から脱し切れない。そこに力を集中すべきなのに、今もまた、復興増税デフレを招こうとする論議ばかりが行われている始末だ。しっかりした経済戦略を示さずに迷走する――これがデフレと円高の悪循環をもたらしている。直面するマネーの変動にも対応は緩慢だ。当然、円が狙い撃ちされることになる。

世界は今、どの国も政治の混迷、政策の手詰まり、通貨切り下げ競争、世界同時株安のなかにある。それだけに無策の日本であってはならない。市場介入や追加の金融緩和策を進めるべきことは当然ながら、復興投資もやる。積極的な成長戦略をブレることなく貫く。東アジアや世界の協調体制を構築する。「遅い、にぶい、戦略がない」今の政治を変えることが急務だ。

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