政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.33 脆弱国土を誰が守るか――深層崩壊と都市部のゲリラ豪雨

2011年9月13日

災害列島日本。台風12号は、大変な被害をもたらした。

脆弱国土を誰が守るか――。この政治の基本、「治山・治水」「安全・安心」に民主党政権は常に背を向けてきた。「100年に1回とか200年に1回などと災害を想定した公共事業は過剰でムダだ」「世界に比べて日本の事業費は高額すぎる」、あげくは公共事業悪玉論だ。そしてまた東日本大震災には「遅い、鈍い、心がない」――。被災地に行けば、「政治は何をしているのだ」「民主党政権をあてにしない」という声が噴出する。そして今回の台風12号による豪雨被害にも、井上幹事長が6日に厳しく指摘したように、初動の遅れはひどい。「2日から3日にかけて災害救助法が適用され、3日夜に和歌山県が自衛隊の派遣要請をしたにもかかわらず、政府の非常災害本部が設置されたのは、なんと4日の夜。大問題だ」(井上幹事長)――。

(1) 日本は脆弱国土だ
●日本は脆弱国土である――このことが、地震・豪雨が続いても民主党は全く分かっていない。先日も民主党の国土交通関係の議員の集まりで、「米国では公共事業が国費の○○%、欧州では○○%、日本は多すぎる」と、とくとくと語ったり、「1980年代に米国では、橋が崩落したというが、日本の橋はどういう状況か」などと質問する議員がいて、専門家がその勉強不足に「あきれた」という話を直接聞いた。

●日本は他国とは違う。「国土の形状は細長く、海岸線は入り組んでいる」「脊梁(せきりょう)山脈が縦貫し、国土の両側を完全に分断、山は急峻、河川は急流。雨が降ると大きな河川で2泊3日、普通の河川で1泊2日、小河川は日帰り、といわれて、2?3日で一気に海に流れ込む。ライン、ドナウ、ミシシッピーのように何カ月かけて海に注ぐのとは違う。治水・利水もトンネルの多さも全く厳しいのが日本」「平野は少なく狭いが、軟弱地盤。それに加えて4つのプレート境界の上に位置する地震列島」――。

●こうしたことから「過去を水に流す」という歴史感覚まで生じ、河川工学では「水を制す」のではなく、「水をなだめる」という哲学が生まれているのが日本だ。

(2)雨の降り方がおかしい異常な降雨量が常態化
●最近のゲリラ豪雨(短時間で局地的)と集中豪雨(梅雨末期や前線の影響で100キロ規模の範囲で起きる)は、明らかに異常事態だが、問題はそれが常態化しているということ。

●今度の台風12号では、総雨量が1000mmを超えるところが何カ所もあり、最大は2000mmを超えたところがある。従来では考えられないことだ。しかし、最近は毎年のように1000mmを超えるところが出ている。

●原因は断定できないが、地球温暖化が進むと、豪雨や台風が増えると、国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が指摘している。気温が上昇し、海水の熱膨張や蒸発散量の増加により、台風の強度増加や降水量の変化、豪雨や渇水の発生頻度の増加する可能性が高いということだ。

(3) 中山間部の深層崩壊と表層崩壊
●最近、中山間部の大水害、土石流が多い。今回の大災害は、この深層崩壊と表層崩壊、そして土石流、土砂ダム(せき止め湖)によるもの。全て、異常な降雨量に起因する。

●深層崩壊は、10m位の厚さで岩盤の上の土層、さらには岩盤までも深層から一気に崩壊するもので、今回はこれがあちこちで起きた。新たな衝撃だ。

●土石流も多く発生。土砂ダムは12カ所確認されている。

●やるべき対策は、救命、救援、復興作業は砂防のプロ集団を国として派遣すること。(国の直轄の道路はないが、二次災害の危険があるので、国が総力を挙げることが重要)

●また危険箇所の点検。(土砂災害危険箇所は全国で約52万箇所、そのうち人家5戸以上の土石流危険渓流、急斜面地崩壊危険箇所、地すべり危険箇所の合計は約21万か所)

●情報提供、避難システムの確立(今回は、「山の中で避難命令が出ても安全に避難する場所がない」という発言を町長がしているほど大変困難な状況)。そこで、集落ごとに、まず1カ所でも安全な場所を作ることが急務。安全な避難場所を造成し、防災倉庫を設置する。

●災害弱者が早めに避難する対応システムを日常時からつくる。

●凶器ともなる流木を上流で止める対策。最近の中山間部の水害には、森林からの流木・土砂が関係している。

●いつも災害が起きるたびに対策を求めるのではなく、長期的視点から治水安全度を増す対策を積み重ねる。

●中山間部に限らず、土砂法に基づいての立地規制をする。

●上記のことができるよう、土砂法の拡充・強化を図る。

まさにやらねばならぬことはヤマほどあり、「わが地域は我々が守る」という各地域での戦いが大切となる。

(4)都市部のゲリラ豪雨対策
●100mm/hを超える豪雨が頻発しており、現在の基準である50mm/h基準を見直す必要がある。(原因はともかく、すでに75mm/hを超え、さらに100mm/hを超える豪雨が頻発している現実がある。データを見ると、50?/hを超える発生回数は、ここ10年間の年平均は239回、30年前の1.5倍だ。2007年以降、100mm/hを超えたところが10回もある)

●75mm/hに対応できるよう貯留管の拡充や既設の貯水池等の連結・有効利用、下水管などのハード面の拡充。

●監視体制、XバンドMP(マルチパラメーター)レーダー網の整備、素早い情報提供体制の確立。

●75mm/hまではハードで、それを上回る部分はソフトで対応。これをメドとして、公共施設等の貯留浸透施設整備、既存の溜池や池沼の改良、住宅の雨貯め・貯留用タンク、各家庭のトイレや風呂の排水の協力体制を強化。こうしたことで100mm/h対応をめざす。

●地下鉄・地下街・地下室が要注意なので、特に情報を正確に伝え、避難できる体制をつくる。

首都圏では世界最大の大規模貯水池を埼玉県につくり(春日部市にある首都圏外郭放水路。北側、冬柴の両国交大臣が尽力)、環7の地下に大規模貯水池をつくっている。まさに総合的な対策が必要だ。そして安全・安心の街づくりに全力を上げることが急務だ。

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