政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.37 世界金融危機の第2幕と超円高――危機感をもち、経済・産業への支援を

2011年12月 5日

超円高で苦しんでいる企業に、日米欧の世界同時株安が襲いかかっている。さらに電力供給不足、高い法人税、結果として産業空洞化。この2ヶ月、「このままではやってはいけない。日本は沈没する」という声をもう超えてしまって、「民主党政権の危機感のなさに対する絶望感」「日本に対する絶望感」が急増していることを感じる。先日会ったアナリストも「日本は経常収支が黒字という資産の累積がある。その間はハイパーインフレになるとは考えにくいが、問題は財政問題以上に、今の政権のアンチ企業ともいうべき姿勢だ」「円高は放置する。経済政策はデフレなのに逆噴射で逆風を吹かせている。この国から出て行けと言わんばかりだ」といっていた。

円高への対応をはじめとして、経済・産業・景気について力を入れる――そうした政治の強い姿勢がない。「物言わぬ総理」「増税だけはいう政権」「経済・産業・景気に危機感なき政権」では日本は本当に危機に陥る。

この超円高の原因は明らかだ。一つはギリシャをはじめとする欧州の金融不安・財政危機、第2に米国の景気低迷、第3に日本がボーッとしていて手が打たれない。各国が巧みに通貨切り下げ策をしているなかで、断固たる姿勢がなく標的になっていること。そして景気・経済へのテコ入れがないことだ。ことは構造的なものであるだけに、本格的に腰をすえた対応が大切となる。

リーマン・ショックから3年だが、欧州は今、世界を巻き込んで国際金融危機の第2幕に突入という様相を呈している。EU加盟27か国のなかで、ユーロは17か国。ユーロで統一して金融はやる。しかし一方で財政は各国に任せる。この構造的な問題で、身動きがとれなくなっている。例えばアイルランド経済が過熱した時、金利を上げたくても統一しているので上げられなかったなど、金融政策が機能していない。

私は、三国志の赤壁(レッドクリフ)の戦いで、曹操軍が船同士を鎖でつなげる"連環の計"をとったために、船の切り離しができず、孔明の火計に次々炎上したことを想起してしまう。

このように通貨ユーロに内在する各国の不均衡問題という構造的問題があり、しかも政治的にも呉越同舟。それが解決しない以上、その都度、対応をしても、構造的に打ち続くことが考えられる。政権交代や欧州金融安定化基金の強化など、食い止めるべくドラスティックな動きがあるが、予断を許さない。

一方、リーマン・ショックの震源地の米国は、オバマ政権の貿易倍増策や懸命の金融・財政政策が展開されているが、雇用や社会の二極分化などの問題に加えて、政治的対立もあって難しいかじとりのなかにある。

日本の円高は、危機感をもたず政府・日銀がいつも遅れがちでボーッとしていることにつけ込まれている。そして、各企業が語っているように「危機感がない」「遅い」「ツーリトル・ツーレイト」だけでなく、「デフレ脱却を」「為替介入だけでなく、日本の実体経済を落とさないような政策が急務」「産業の枠を超えて革新的な事業に取り組む"産業更新"への支援を」などの経済・産業界の悲鳴を受け止め、支援への断固たる意思が大切だ。政権の無策を払拭しないと絶望感は更に広がる。

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