政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.38 社会保障の全体像を示せ!まず景気・経済の回復に全力を

2011年12月14日

「社会保障と税の一体改革」論議のなか、野田政権の"増税一直線"が際立っている。一方、デフレ克服や円高対策、景気・経済活性化への無関心ぶりに、「困ったものだ」と絶望感が広がる。

私は「稼ぐ(経済・産業支援)」「削る(ムダをなくす行革)」「守る(社会保障)」の3つの角度をもてと言い続けてきたが、経済・産業には無関心、行革はパフォーマンス、社会保障は民主党の年金改革案自体が崩壊していることをはじめ、医療・介護なども含めた全体像が全く見えないままだ。先般行われた仕分けも、提言型仕分けと称して、中途半端で結論はあいまい、実効性には最初から疑問符がつく状況。だから「増税の地ならし」と報道される有様だ。

消費税についてのスタンスは、私たちは2年前の衆院選以前から示している。当時は与党、私は党代表という立場であったが、「持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた中期プログラム」(2008年12月24日 閣議決定)に示した方針・考え方が基本だ。消費税については、その中期プログラムの方針に沿って、「5条件」の下で、その時々の経済状況をにらみつつ、抜本改革の中で検討――としている。

5条件とは
(1)景気回復を前提(当時はリーマン・ショックから全治3年をめざしていた)
(2)社会保障の機能強化の具体化(社会保障改革の全体像を示す)
(3)行政改革・行政の無駄排除の徹底(今回の仕分けのパフォーマンスが増税の地ならしと言われるのはこの項目があるゆえ)
(4)消費税の使途の社会保障と少子化対策への限定
(5)消費税のみならず税制全体の改革(消費税のみを決め打ちしない)
――この5つだ。

少子高齢化の進展の中で、社会保障の安定財源の確保は重要。社会保障の拡充強化と併せて、税制の抜本改革、そのなかでの消費税率の引き上げをお願いせざるを得ない。

しかし、デフレ、不況のなかの増税は、経済の悪化を招き、税収は増えない。ましてや、社会保障の拡充強化の全体像を見せないまま、遮二無二増税のみに走っていい訳がない。

社会保障について、民主党は年金も医療も介護も子育て支援も、口をきわめて現制度を批判し続け、「年金は一元化します」「最低保障年金を創設し、全ての人が7万円以上の年金を受けとれるようにします」「後期高齢者医療制度は現代の"姥捨て山"だ」「子ども手当ては月2万6千円出します」「ムダ等を削れば財源は16.8兆円出る」などといい、マニフェストにもうたった。しかし、全ては"サギフェスト"でありギブアップ。年金などは5年以上もたって、いまだに民主党案すらつくれない。「社会保障と税の一体改革」と言いながら、社会保障の拡充強化の全体像が提起できないで、「4年間あげない」と言っていた消費税増税のみを先行させている。論議にならないではないか。

景気・経済の好転も重要な前提条件だ。民主党政権の2年3か月は、景気・経済について無策、無関心、いやそれ以上に逆噴射政策ばかりやってきた。リーマン・ショックから1年後、立ち直りかけた日本経済に、「あれも削り、これも削り」とデフレのなかでの逆噴射。それでいて分配と手当ばかり増やそうとしてきたが、それも全部失敗した民主党政権。ギリシャ危機に驚き、今日の欧米からの世界金融危機第二幕にも無策で超円高を招いている現在の状況。

最近は、「党内の反消費税派の反乱を防ごうとして、消費増税をしても、景気に配慮する条項を入れる」との報道が出ているが、増税自体が景気に影響があること、景気を状況任せとしている姿勢自体が問題ではないか。デフレ克服、景気回復、経済再生へのテコ入れをすることこそ重要だ。金融政策や経済・産業支援策も大切だ。中小企業が日本の底力であるという視点から、中小企業支援。それも現実に中小企業経営者が困っている問題を切り拓くことで、活力は出てくる。短期、中期と、マクロもミクロも、やれることはヤマほどある。

社会保障を持続可能なものとし、財政再建への道を開くためにも、何に今注力するかを総合的に考えよと指摘したい。

facebook

Twitter

Youtube

トップへ戻る