政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.39 危機管理もなし、マニフェスト総崩れ――何も決められない民主政権

2011年12月24日

年の瀬を迎えたが、野田民主党政権の迷走が続いている。「社会保障と税の一体改革」は、増税と反増税で党内バラバラ。「八ッ場ダム」は建設継続が決定したが、「コンクリートから人へ」の瓦解、とくに地元からは「この2年はいったい何だったのか」との嘆きが聞こえる。子ども手当、高速道路料金無料化、年金改革をはじめ、「マニフェスト総崩れ」との報道があふれている。

先の臨時国会もひどかった。復興への諸法案は私たちが逆に推進力となって成立させたが、政府民主党は12月9日に国会を閉じた。法案成立率は最低の34.2%。同様のねじれ国会の福田内閣、麻生内閣でも70%は超えた。「公務員給与法」「郵政」「労働者派遣法」なども、延長すれば成立の可能性が十分あったのに、自ら国会を閉じてしまった。逃げる"ドジョウ"だ。

(1)危機管理がなっていない
●北朝鮮の金正日総書記の死去を受けた政府の初動対応。野田首相は2時間も前に情報を受けながら(10時8分)、新橋での街頭演説に一旦向かって(12時直前)、引き返した。東京では、私もそうだったが、11時前から情報が飛び交い、かなりの緊張状態であったのに、だ。

●山岡国家公安委員長に至っては、安保会議に間に合わなかった。「情報が届いていない」こと自体、首相の判断自体、国家の危機管理がなっていないうえ、組織全体が緩みに緩んでいる。今回に限らず、国家を担う危機管理のタガが完全に緩んでいるという、ゆゆしき状況。しかも防衛大臣と国家公安委員長が問責を可決されたのに、ズルズルと何の対応もしない政権だ。

(2)何も決められないまま年越し
●「社会保障と税(消費税)の一体改革」も、いつまでたっても小手先の社会保障論議で、年金をはじめとして民主党が5年以上主張してきた"抜本改革"など論議すらない。年内に政府案(素案といっている)をまとめると、あれほど言っていたが、「年明けとなる公算」と各紙が今日も報道している通り。

●「所得税 最高45%上げ」など、消費増税の布石として、「低所得者に厳しい消費税」批判を回避しようとする小手先のものを、すぐ打ち出す。あらゆるものが総合的、抜本的に検討しないで、その場、その場で小手先にする。従って、何を決めたいのか、主張が全く見えない。

●「普天間」――。名護市辺野古への移設に向けた「環境影響評価書」を、沖縄県側に27日にも提出する方向のようだが、肝心の沖縄へ、野田首相は全く行ってもいないし、説明もなされていない。野田首相の言う"正心誠意"どころか、問答無用というか、真剣でないというか、ひどい話だ。これも小手先で、年越し。

(3)政府野党
●このところ"無政府的状態"と危機管理等でいわれるが、「政府野党」と指摘する政治評論家までいる。戦後初めての言葉だ。政府与党ではなく、民主党が、団交のように政府と反対のことを次々という(政府内でも勝手に言っているが)。

●八ッ場ダム――。政府は建設継続に向かったが、民主党の前原政調会長は激しく抵抗して、「認められない」。21日の党の国交部門会議では反対の方向を確認。そして22日に政府は建設継続を決定。政府与党は一体となり責任をもって国を運営するものだ。その後も前原政調会長の抵抗姿勢は続いている。「この2年はいったい何だったのか」という地元の声は当然だ。

●TPPでも消費増税でも――。反対派が署名をしたり、決起したりの民主党。

(4)約束違反
●子ども手当問題――。3党合意で「児童手当法の改正」「所得制限960万円」と合意した。その後、「子ども手当は存続」とビラを出して大批判を受けて回収した。しかし、このところ「子どものための手当」の名称にこだわり、960万円超の世帯にも5000円支給などの案を出してきたりする。姑息というか、ダマシというか。

●マニフェストがガタガタになっている。子ども手当2万6000円も高速料金無料化も、"サギフェスト"だ。それなのに突然、「マニフェストの原点に帰るべきだ」などと民主党内で決起する。
年末となり、「何も決まらない」「決まったようだが、実はきまっていない」という、政府民主党の混乱・迷走。本当に今、日本再建に向け「八方美人」ではなく、「リスクを負ってもやり抜く政治」が必要だ。「八方美人の政治は、八方塞がりになる」と思う。

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