政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.40 首都直下、南海トラフの地震対策を! 急げ! 国あげての分析・研究

2012年1月17日

阪神・淡路大震災から今日で17年。3.11東日本大震災から10カ月――。国全体として今年、どうしてもやらなければならぬことの1つに、地震・津波対策、防災対策がある。とくに気を付けるべきは、首都直下型地震と東海・東南海・南海の三連動地震への対応だ。

切迫度はどのくらいか、想定する規模はどのように考えるか、とくに何に注意すべきか――各地域での安全を確立するには、国としての基準をできるだけ正確に、そして迅速に出す必要がある。

M9の巨大4連動地震
昨年末の12月27日、内閣府の「南海トラフの巨大地震モデル検討会」が、中間とりまとめを発表した。南海トラフの地震は東海・東南海・南海の3つと、その連動だが、従来よりも大規模な地震となることを想定したものとなった。

●今回は地震・津波調査の時間軸を大きくとった。今までは、約500年しか調べていなかった。しかし、津波がくると土砂が堆積していく。その地層を調べると、長いスパンで地震がわかる。従来は1707年の宝永地震が大きいといわれていたが、684年の天武地震、1361年の正平地震、1498年の明応地震もかなり大きく、2000年前の津波は宝永地震によるものより大きい可能性があることを今回発表した。

●さらに今回、今までよりも、想定震源域・想定津波波源域を大きくとった。「従来よりも震源域を広げた」「日向灘も加えて4連動地震を想定する」「津波を起こす対象を従来より広げて波源域として加える」――。その結果、面積が大きくなり、従来よりも大きいM9.0クラスがあるとした。それは東日本大震災クラスを想定したことになる。

●今回のは中間とりまとめで、今年の3~4月に南海トラフ巨大地震の震度・津波高の推計結果が最終取りまとめとして発表される予定だ。

東海地震は88%の確率
さらに今年に入って1月11日、文科省の地震調査研究推進本部が「東海地震などの発生確率を更新」した。これは将来の地震発生確率を今年1月1日時点の数字に更新したものだ。

●まず海溝型地震についてだ。三陸沖から房総沖の海溝型地震については、10年以内で「ほぼ0%~0.8%」。30年以内で「0.7%~10%」としている。

●南海トラフの地震は、南海・東南海・東海――の3つだが、南海地震は平均発生間隔は114.0年、直近は1946年発生、30年以内では60%程度(これは昨年1月1日と同様)。しかし、10年以内では20%程度(昨年は10%~20%だった)と上昇させた。

●東南海地震は平均発生間隔111.6年、直近は1944年、30年以内は昨年同様70%程度。

●東海地震は平均間隔118.8年、30年以内の発生確率は88%とした(昨年は87%、浜岡原発について菅前首相が盛んに言った数値)。

●南関東の地震については、相模トラフと首都直下型の2つがある。相模トラフは1703年の元禄地震、1923年の関東大震災などだが、平均発生間隔は200~400年と長い。また発生確率は30年以内に0%~20%と低い。

●首都直下型地震は海溝型ではない。基本は活断層によるもの。しかし、相模トラフの沈み込みが、関東の地下に潜り込んでいるということもあり、今回の発表では触れていないが、30年以内に70%となっている。

このように地震・津波について、従来とは違う本格的な調査・研究が行われていることは大事なことだ。それなしに、全国の各自治体での地震・防災対策はできない。

首都直下型は火災に注意
寺田寅彦は「ものに怖がらな過ぎたり、怖がり過ぎたりするのはやさしいが、正当に怖がることは、なかなかむつかしい」といった。武田徹氏は原発の歴史等を見て「科学的な思考を手放すリリースポイントが早すぎる」といっている。思考の粘着力の欠如は科学的知見を中途半端なものにし、思考停止をもたらす。中央防災会議等で徹底して踏み込んだ研究と検討をし、明解な問題提起をすることだ。

そして、首都直下地震ではとくに火災対策、建物の耐震化、救命ライフライン等に力を注がなくてはならない。東海・東南海・南海地震では、日向灘も加えた4連動地震への構えと、津波対策が急務だ。私は東海地震をM8としてきた考えを改め、「M8.6の宝永地震のような巨大3連動地震に備えよ」と主張してきたが、今、必要なのは「M9の巨大4連動地震に備えよ」ということだ。

その断固たる対策に踏み込むのは今年だ。

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