政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.41 景気・経済の好転へ積極策を やめよ!泥縄・小手先の増税地ならし

2012年2月 5日

通常国会が始まった。波乱含みの国会といわれるが、そんなことより国家が危い。その危機感を共有して、本格的論戦を行う時である。ところが野田政権からは増税しかメッセージがない。国家をどうするか、景気・経済をどう再建するか、社会保障の全体像をどう具体的に描くか、行革にどの次元から挑むか――骨太の論議の提起が全くない。泥縄式というか、小手先というか、増税原理主義に陥ったというか。増税すること自体が自己目的化して、他はあたかも増税の地ならしとして手段化していること自体、危険なことだ。

社会保障については、本格的に社会保障の全体像そのものを論議すべきだし、選挙制度は「民主主義と選挙制度」そのものを論議すべきだし、行革は行革本来のあり方を歴史的沿革を踏まえて抜本的に論議すべきだ。視野狭窄、哲学不在の政治ではこの国難を乗り切れない。

経常収支の黒字が大事
まず、景気・経済――。日本に超円高をもたらしている国際金融市場の激震は続いている。収束は簡単ではない。私は国際金融危機の第二幕に突入しているという危機感をもてと言い続けてきたが、世界のあちこちで深い穴が口を開けている。そのなかでの日本の超円高だ。「国債が国内で消化されている」「日本の経常収支が黒字」「消費税を上げられる余地がある」などから相対的に円高になっているといわれるが、デフレの長期化、財政危機、加えて東日本大震災と原発事故、そして電力不足の状況は深刻だ。円高への対応をはじめとして、景気・経済・産業に力を入れる、金融政策や実体経済を上げる支援策、産業の枠を超えて革新的な事業に取り組む"産業更新"への支援策が不可欠だ。

社会保障の全体像を示せ
社会保障について、民主党は年金も医療も介護も子育て支援も、口をきわめて現制度を批判し続け、「年金は一元化します」「最低保障年金を創設し、全ての人が7万円以上の年金を受け取れるようにします」「後期高齢者医療制度は現代の"姥捨て山"だ」「子ども手当は月2万6千円出します」などといい、マニュフェストにもうたった。この政権になって、どうなったのか。「ムダ等を削れば財源は16.8兆円出る」といって、全くダメ。それで「4年間やらない」といっていた増税一直線。何ということだろう。社会保障の全体像を示さないで、何を論議しようというのか。論議にならないではないか。

行革もそうだ。行革は大事だ。時代の激変するなかで機構・制度の改革は大事だ。しかし、今盛んに「増税のためには、・・・を改革しなければ」という声が大臣の口から平然と出る。驚くべきことだ。公務員制度にしても、公益法人等の改革にしても、真正面から歴史や沿革、将来の機構・制度を含めて総合的・抜本的に論議すべきもので、"増税の地ならし"にされるのは問題だ。

選挙制度に至ってはあきれるほどだ。「定数を比例80削減すれば、60億円削れるんです」と民主党議員がテレビで平気で言っている。「一票の格差是正」「現行の小選挙区中心の選挙制度は民意の反映が不十分、かつ選挙ごとに極端なスイング(振れ)を生み、政治家が劣化しており限界だ」――それが選挙制度の問題点の中心だ。選挙制度の抜本改革を行い、そのなかで定数削減も行うというのが本道だ。

すべてが小手先、泥縄式。そして増税一直線。こうしたやり方、論議自体が危うい。

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