政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.51 若者雇用に大きな支援を 「三つのミスマッチ」を是正せよ

2012年8月 7日

「逃げる中高年、欲望のない若者たち」――村上龍氏の著書である。欲望のない、バカ騒ぎもせず、車ももたず、留学もあまりしない。そうした若者の背景に逃げる中高年がいる。しかし若者は怒らないし、寡黙で、率直で、良い子が多い。友人と話してストレス発散かと思えば、相手を気づかってはっきりモノは言わず、「ビミョー」で済ます。スキルも知識も鍛えられず、社会に放り出される若者たちだ。

一方、「日本の若者は不幸じゃない」の著者の若い福嶋麻衣子さんは、「いい会社に就職」「エリートになる」「バリバリ働いて高給をとる」のが当たり前なら、今の若者は不幸ということになるが、違う。最初から「大手企業に就職して・・・・・・」などという意識はもっていない。「ちょい収入」「ちょい幸福」「ちょいヒット」のちょい嗜好が増えているという。

厳しい学生の就職状況
現在の若者は不況のなかで生まれ育った世代であり、高度成長下で育った団塊の世代などとは違う。それはそれでいい。しかし、問題は、日本のかなりの若者に「仕事がない」「安定した仕事がない」ことだ。若者に会って話を聞くと、まず出るのは「仕事がない」問題だ。学生が就活に頭を悩ませ、この酷暑のなかも就活で歩いているということだ。個人においても、社会においても、「若者にいい仕事がない社会」は希望のない社会、将来が見えない社会であり、今こそ若者を支援しなければならないと強く思う。

まず、学生の就職状況だ。今春卒業した大学生の就職率は93.6%。昨年10月1日の59.9%から相当挽回をした。しかし、就職留年や就職をあきらめた人は入っておらず、リーマン・ショックの急落を取り戻せないでいる。3年以内に離職する「早期離職」も10年以上にわたって3割を超えている。

大切なジョブサポーター
若年雇用は何といっても、雇用を「つくる」「守る」「導く」の3つが大事だ。公明党青年委員会は3つのミスマッチの打開で動いている。「学生と中小企業」「職業訓練と訓練を受ける若者」「職業訓練と中小企業」のミスマッチだ。その前提として「雇用をつくる=景気・経済活性化」「労働環境の整備」「働く意識を持たせる教育」が必要なことはいうまでもない。

そのうえで、具体策の充実が大切だ。第1に、「卒業時にしっかり就職」ということだ。2010年9月から始まった新卒応援ハローワークは今、全国で57か所。公明党が推進し、2009年にできたジョブサポーターが親身にアドバイスをし、大企業を志向しがちな学生をハローワークにつなぎ、中小企業に導く役割を果たす。効力を発している。

第2は「中退者への相談」だ。アルバイト等の非正規雇用に最もなりがちであるうえ、家に引きこもる若者も多い。先日、訪れた足立の若者サポートステーション(全国115か所)は、こうした若者にキメ細かく接している。「導く」ということだ。中間的就労支援だ。

第3は、「就職を途中であきらめる若者支援」だ。新卒であきらめ、社会に出て退職してあきらめる若者だ。これは、公明党が卒後3年迄新卒扱いということにした。ジョブサポーターはここでも重要な働きをする。現在2300人いるジョブサポーターが支援して、23年度は約16万人が就職し、そのうち約9万人が卒後3年以内の若者という実績が出ている。若者を1人きりにしてはダメだ。1人で悩む、あきらめる前に支援が必要だ。

第4は「フリーターの正規雇用への援助」だ。今勤めている企業での正規化、他企業に移りたい人――ジョブカフェ、ハローワークにおいても、キメ細かな対応が大事となる。いわゆるフリーターは15年の217万人をピークに減少したものの23年は176万人、いわゆるニートはここ10年約60万人だ。年齢が進むと転職が難しくなるので、企業と求職者のミスマッチを解消する「導く」支援が不可欠だ。公明党が推進してきたトライアル雇用制度、ジョブ・カード制度、求職者支援制度など、切ることなく継続して行うことが大切だと思う。民主党政権には継続への強い意志がみられない。

若者雇用は日本で今、最も重要なことだ。「景気・経済」「教育」の土台をガッチリさせ、不安定になりがちなサービス業にもっと国をあげて支援する。真面目に働こうとする若者を支援する。若者のやる気をそぐ社会にしてはならない。リーダー育成も含めた、総合的な若者支援こそ、日本再建のカギだ。

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