政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO,73 個性ある地方創生へ本格始動/国土のグランドデザイン具体化へ

2014年8月12日

「個性あふれる元気な地方を創る」――人口減少に手を打ち、個性ある地方を創生していくための動きが始まっている。

急激な人口減少、少子化、高齢化により「地方が消滅する」という危機感を伴った指摘が最近よく聞かれる。国土交通省の推計では、国土を1㎞メッシュで区切ると、2050年には現在の居住地域の63%で人口が半分以下に減少、うち20%は無居住地化するとされている。今年の5月には、民間の有識者から成る日本創生会議が「消滅可能性都市」(2040年までに20~39歳の若年女性人口が5割以下に減少する都市)を発表。若年女性の減少と地方から大都市圏への若者の流出により、地方が消滅しかねないという衝撃的な内容だ。7月15日には全国知事会議が「少子化非常事態宣言」を決議。国も地方も今こそこの問題に全力で取り組まなければならない。

これに対して7月18日、安倍総理から「まち・ひと・しごと創生本部」設置の指示が出され、早速7月25日に準備室が立ち上がった。この本部は、個性あふれる地方の創生により経済の好循環を全国に広げ、若者が元気に働き、子どもを育て、豊かな暮らしを次世代に引き継いでいくための政府の司令塔。総理自らが本部長になり、私を含めた全閣僚がメンバーになって政府一丸となってこれから取り組んでいくことになる。

地方の創生を進める上で、是非とも踏まえていかなければならないのが、ちょうど7月4日に国土交通省が発表したばかりの「国土のグランドデザイン2050~対流促進型国土の形成~」だ。

これは2050年を見据えて我が国が直面する課題を克服し、未来を切り開いていく国土づくりの考え方を示したものだ。そこでの地方のあり方を示すキーワードは、「コンパクト+ネットワーク」。その上で、多様な地域が連携し、人・モノ・情報が対流する国土づくりを目指すこととしている。対流が起こるためには温度差が必要。各都市・各地域がそれぞれ個性を発揮して、違いが生まれるからこそ対流が起き、そして周辺との連携が始まるのだ。

地方の衰退を食い止めるためには、国が上から解決策を示すのではなく、まずは地域自らが知恵を出し工夫することが必要だ。自らのまちをどのように作り、どのように生き抜いていくかを真剣に考え、戦略を持ってそれぞれの個性を磨き上げていかなければならない。例えば、富山市のように、介護や医療などの生活サービス機能と居住を誘導するコンパクトシティの形成がある。一方で、規模の小さな集落では、高知県黒潮町のように「小さな拠点」を作るという取り組みがある。

既に先の通常国会で、「コンパクト+ネットワーク」の理念を実現するための都市再生法や地域公共交通活性化法の改正が成立した。これからは、グランドデザインの具体化を全国で展開していくことが求められている。

地方の消滅という事態を起こしてはならない。今こそ、個性ある元気な地方の創生と人口減少克服に向けて本腰を入れて取り組んでいくべきラストチャンスだ。

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