政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.74 新築と中古で質の高い住宅を/住宅と福祉の連携強化

2014年9月10日

全国で空き家が増加している。総務省から発表された最新の調査結果によれば、全国の空き家数は820万戸で住宅全体の13.5%。いずれも過去最高の数字だ。5年前と比べて63万戸も増加、20年前と比べると1.8倍にもなっており、高齢化や人口減少の進展でこれからも増加していくことが懸念される。しかも過疎化が進む地方部だけでなく、大都市の郊外や密集市街地などでも増加。全国共通、社会全体の問題として早急な対策が必要だ。

空き家が放置されて老朽化すると、景観が悪くなるだけでなくゴミの不法投棄や不審者の侵入、放火など、衛生、防犯面で周辺の居住環境悪化を引き起こす。こうした危険な空き家に対しては、全国で355の自治体が条例を制定して取り組みを進めている。私の地元の足立区でも、都内で初めて、老朽化した家屋の解体を助成する条例を2011年11月から施行して成果を上げているところだ。こうした取り組みを全国に広げていく必要がある。


さらに、賃貸や売却ができないまま空き家になっているものも多い。その利活用を進めるためには、中古住宅流通を促進し、リフォーム市場を活性化していくことが重要になる。よく「日本の住宅は新築後約25年で評価額がゼロになる」と言われてきたが、しっかりと点検やメンテナンスをしてリフォームを施せば、良質な住宅ストックとして市場で流通させることが可能となる。欧米では、新築よりも中古住宅のほうが数倍の取引規模になっている。我が国でも中古住宅市場を活性化し、長く大切に使う住まいを実現することが、空き家問題の解決につながるはずだ。

さらに我が国の住宅ストックを良質なものにしていくためには、新築の段階から時代の変化に対応した住宅づくりを進めていかなければならない。そのために私が提唱しているのが「スマートウェルネス住宅・シティ」だ。
まず、耐震性や耐久性を備えることはもちろん、バリアフリー化や断熱性の向上により、高齢者をはじめあらゆる居住者の生活や健康、さらには環境にやさしい住宅にする。また、エネルギー制約の中で、太陽光発電や蓄電池などの創エネ機器と省エネ家電を一元管理するスマートハウス化も大事。さらに、ICT(情報通信技術)を活用した見守りや介護など、新技術の活用も必要となる。

その中で、地域の住宅政策やまちづくりと、医療、介護などを提供する地域包括ケアシステムとの連携がこれからの重要課題だ。大都市では、特に郊外で高齢者がこれから大幅に増加していくことが見込まれるため、介護・福祉拠点を住宅の近くに立地させていく必要がある。一方、人口減少が進む地方では、都市のコンパクト化を進め、住宅と医療・福祉、商業などの生活関連施設を集約していく必要がある。サービス付き高齢者向け住宅(「サ高住」)についても、地価の安いところにばかり立地することのないよう、市町村の中での適正配置を進めなければならないだろう。

「あらゆる世代にとって暮らしやすい、質の高い住宅ストックを形成する」――大事なのは、人口減少や高齢社会という変化に対応したまちづくりの中で住宅を考えることだ。スマートウェルネス住宅・シティや中古住宅流通の促進に向けた取り組みを着実に進めていきたい。

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