政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.92 訪日外国人3000万人時代への備え/「稼ぐ観光」へ新たな戦略!

2016年4月14日

日中韓 観光大臣会合.jpg訪日外国人旅行客が急増している。民主党政権時代の2012年に836万人であったものが、安倍自公政権になった2013年には念願の1000万人を超えて1036万人、2014年には1341万人、そして昨年2015年にはなんと1974万人となった。2020年に2000万人という目標は事実上達成されたといってよい。そして今年、1月は前年比52%増、2月も好調で36%増となっている。しかも昨年の外国人旅行客による旅行消費額は一気に増加して3.5兆円、国際旅行収支も1962年の黒字の後、赤字が続いたが、昨年53年ぶりの黒字となっている。「観光」は明確に日本の産業の一つの柱となり、勢いのある日本の象徴ともなっている。観光を所管した国交大臣時代の3年弱、私は「観光立国日本」を志向し、ビザの緩和、免税店の拡大、訪日プロモーションの拡大、中国、韓国、タイなど各国の観光大臣会合など数々の手を打ってきたが、確実に実を結んだ。地方創生にも経済にも寄与し、うれしい限りだ。

政府は先月末、「訪日客2020年に4000万人」の目標を新たに掲げた。その意味では、まず、「訪日外国人旅行客3000万人時代への備え」を急ピッチで整えなければならない。日本には歩いて来る人も泳いで来る人もいない。何よりも航空・空港の拡充、LCCなどでの地方空港への誘客、急増しているクルーズ船に対応する港湾・岸壁等の整備、CIQ体制の対処は不可欠だ。またホテル不足も目立っており、その対応や分散措置も急務だ。多言語対応、Wi-Fiの整備、外国人への交通の連結性など、課題はきわめて多い。

点から線、線から面へ――昨年6月、こうした考え方から7つの全国の観光広域ルートを決めた。中部の「昇龍道プロジェクト」や「道東のアジアの宝 悠久の自然美への道 ひがし北・海・道」などだ。観光には「見るもの、食べもの、買いもの」の3つが大事で、「見るもの」には景色だけでなく、文化や伝統も当然含まれる。各ルートでこれらをブラッシュアップし、より多くの誘客に努めたい。

アトキンソン氏と対談.jpgのサムネイル画像観光戦略は今、大事なステップアップの時を迎えている。数だけを追うのではない。質、そして数ではなく滞在日数から考える。人口減少の日本を補うべく、観光によって交流人口を増加させ、お金を落としてもらう経済戦略が重要となる。デービッド・アトキンソンがいうように「日本は観光立国の4条件の気候・自然・文化・食事を満たす稀有な国」「上客を呼び、滞在日数から考える」「文化財を活用し、保護から"稼ぐ文化財"に」など、新たな戦略で挑む時が来ている。

政府としては、各省庁あげて「伝統文化財の観光資源としての開発」「国立公園の民間活用促進」「通信、決済、多言語化など受入環境の整備」「交通など地方への人流の創出」「訪日プロモーションの更なる拡充」「宿泊する観光への脱皮戦略」など、新たな段階に進むよう動いている。私は首長さんに「右手に観光、左手に道の駅」といってきたが、全国の各都市が「わが町は観光で生きる」と意欲を見せている。民間でも3年前の議論とは全く異なる積極的議論が行われていることはうれしい。

南信地域視察.jpgこのなかで、東北の観光振興はきわめて重要となる。震災前の2010年比で、延べ外国人宿泊数が、全国が235%まで伸びているのに対し、東北6県においては101%と、ようやく震災前の水準を回復したところだ。福島県に至っては50%に留まっている状況だ。3月26日には新幹線が、青函トンネルを渡り新函館北斗駅まで開通した。このチャンスを逃してはならない。函館や仙台空港と新幹線と連動させて、東北観光復興に努めたいと、強く思い動いている。

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