政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.128 認知症・フレイル予防に注力/人生100年時代へ備え急務!

2019年5月16日

20190426_110050.jpg「2025年、団塊の世代が75歳以上になり、全国で空家が1000万件、認知症が700万人になる」――。「令和の時代」を迎えた今、「人口減少・少子高齢社会への対応」「世界の政治・経済が不安定ななか、日本経済の確実な成長」「ステージの変化した災害への防災・減災対策」の3つの備えは最重要課題だ。AI・IoT・ロボット等の急進展はそれら全てに関わりをもっており、エンジンともブレーキともなる。AI社会はデータの争奪戦ともなり、デリケートな社会を生み出すからだ。

人生100年時代、超高齢社会への備えは、直面している重要課題だ。「100歳まで生きる時代が来る」――それが徐々に実感を伴って感じ始めたのはこの2~3年のことだと思う。年金・医療・介護自体をそうしたスパンで考える必要性を突きつけられているわけだ。なかでもフレイル予防、がん対策、認知症対策は先般の統一地方選で、公明党の地方議員が強く訴えたものだ。大事なのは健康寿命だ。2016年の調査によると、女性の平均寿命87.14歳に対して健康寿命は74.79歳、その差は12.35歳もある。男性は80.98歳に対して72.14歳で8.84歳の差となる。「女性は長生き」と言っていられないのが現状だ。

フレイル予防――。高齢となれば誰でも身体は弱くなり、外出も減り、病気でなくても心と体の働きが弱くなる(フレイル=虚弱)。身体の虚弱、心・認知の虚弱、社会性の虚弱に着目し、「メタボ対策からしっかり食べて栄養状態を保つフレイル予防」「筋肉の衰えを遅らせる」「早めの気付き」が重要となる。健康長寿に向けて「栄養(食と口腔機能)」「運動」「社会参加」の柱立てをし、各市区で公明党議員はその取り組みを訴えていた。

20190518_154431.jpg豊島区では、フレイルの名称を全国に初めて使用する「東池袋フレイル対策センター」を5月にオープンさせた。介護が必要になる前に、自身の体の弱点を見つけ出し、適切な健康や栄養の指導につなげられる環境をつくった。この施設では、フレイル対策事業として「虚弱予防のための東大高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授が開発したフレイルチェック(発声による滑舌のテスト、ふくらはぎの周囲の計測などを通じて、体の部位ごとに虚弱の度合いを調べる等)」を定期開催したり、「測定コーナー(体組成計、筋肉量など)」を開設していいる。また「フレイル予防や介護予防、生活習慣に関する相談のできる"相談事業"」「認知症の人や家族が集う"認知症カフェ"」「高齢者の居場所と地域の交流スペースとなる"カフェ"」「地域の皆さんが顔を合わせながら食事を楽しむ"おとな食堂"」などが開催・設置されている。将来の要介護者を減らすことで、医療費・介護費の抑制も進めることになる。じつは、日本の医療費・介護費は、毎年1兆円ずつ増えており、75歳以上の高齢者に医療費の約3分の1、介護費の約9割が使われているのが現状だ。フレイル予防の全国展開が期待されるところだ。

がん対策については、2006年にがん対策基本法を成立させた。がん検診の質の向上、医療機関の整備等を進め、放射線治療を進めるために、安倍首相(当時)と党代表であった私が東大の放射線科を視察し推進してきた。免疫療法、遺伝子診断・治療など医学の進歩は急速度だ。

認知症対策は最重要課題だ。公明党は2017年に政府への提言を行ない、「認知症施策推進基本法」の制定に向けて精力的に動いている。政府も昨年末、認知症施策推進のための有識者会議を開催、総合的な対策に乗り出した。私も早期診断・早期対応、認知症研究の推進、認知症への家族・企業・地域での理解、街づくりのあり方等、きわめて広範な課題となるだけに「身近なことから大きなことまですぐやる」という気概で取り組んでいる。アルツハイマー型にしても"忘れる"ということは、ある意味で老いを迎えて人間の生き抜く本能にかかわることでもあり、善悪の問題ではない。大脳皮質の記憶を海馬が取り出すという仕組みを踏まえて、どのように付き合い、予防、診断、人間関係も含めて改善していくかということになる。

公明党も政府も方向性は共有している。「啓発、教育」では相談先の周知と強化、認知症サポーターの養成等が大事だ。党をあげて各市区でできることに挑戦している。「予防」では前述のフレイル予防を具体的に進める拠点、歯や聴力なども含めた幅広い場の提供が重要となる。「ケア、医療、介護者への支援」では、かかりつけ医や地域の相談拠点と専門機関との連携が大事だ。あわせて家族がどうしたらいいか、という課題に注力することが不可欠となる。「若年性認知症、就労、社会支援」「認知症共生型の生活環境づくり」も、2025年に認知症700万人となることを考えれば、推進強化が大切だ。勿論、「研究開発、産業促進、国際協力」を進めねばならない。

令和の時代――。困難な課題に挑戦し、打開していく政治を進めたい。

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