政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.130 温暖化に負けない事前防災を!/急務のマイタイムライン等の整備

2019年7月10日

今年は伊勢湾台風から60年――昭和34年9月26日夕方、強い勢力を維持して、潮岬に上陸した台風は早い速度で紀伊半島を縦断し、広範囲に大雨と高潮をもたらした。伊勢湾周辺の名古屋市をはじめとする低平地の堤防がいたるところで決壊し、一面海と化した。犠牲者の数は5,098名に及び、流出・全壊戸数は、4万戸、半壊戸数は10万戸を超えた。決壊した堤防を締め切り、排水を完了するまでに、3ヶ月以上かかった。私は、当時愛知県豊橋市で中学校に通っていた。伊勢湾周辺だけでなく、私の地元三河地方でも多くの家が倒壊し、学校の体育館には、救援物資が山積みになっていたのをいまでもありありと覚えている。台風による犠牲者では、明治以降最大であり、平成7年の阪神・淡路大震災が発生するまでは、戦後最大の死者を記録した自然災害であった。

Iwabuchi 2017.jpgこの大きな犠牲をだした伊勢湾台風は我が国の防災対策の重要な起点となった。まず、我が国の防災対策の基本的な枠組みを定めた、災害対策基本法の制定である。国や自治体の責務と役割分担が明確になり、国、都道府県、市町村の各レベルに防災会議を設置し、防災体制の確立や防災事業の促進等をあらかじめ計画として策定することとなった。2つめは、治水事業等を強力に推進するための、治山治水緊急措置法の制定である。法律に基づき5か年計画を策定して、計画的に治水事業等を進めることになった。昨年の台風21号では、大阪湾奥で昭和36年の第二室戸台風の潮位を上回ったが、第二室戸台風の被害を踏まえて、計画的に整備をしていた防潮水門が大阪市域への高潮の侵入を防いだ。

今、気象が大きく変化し、我が国の水防災を取り巻く環境はさらに厳しくなっている。平成24年、29年の九州北部豪雨、平成26年の広島土砂災害、平成27年の関東・東北豪雨、平成28年の北海道への3つの台風のたてつづけの上陸、昨年の西日本豪雨、明らかに気象が局地化、集中化、激甚化している。平成23年の紀伊半島では、山がざっくりときりとられる「深層崩壊」、平成25年の伊豆大島では、それまで川がなかったところに流れていく「河川争奪」、昨年の西日本豪雨では、上流で崩壊した土砂がその後の雨で下流に流出して水と土砂が氾濫する「土砂・洪水氾濫」等、想像がつかないような災害が全国各地で起こっている。

201810 堤防視察①.jpgそれでも、室戸台風、伊勢湾台風、第二室戸台風クラスの台風には、最近襲われていない。これは、幸いと考えるべきである。昨年の西日本豪雨に対しては、気象庁が初めて一つの現象に地球温暖化の影響があるとした。IPCC等による報告でも、猛烈な台風の出現頻度が増加する等が予測されている。こうした状況に対して、より強い構えで対処していくことが必要である。「地球温暖化に負けない事前防災の加速化」、今、政府・国交省は全力を挙げて取り組まないといけない。私は、かねてから、タイムライン、マイタイムライン、ハザードマップの整備が急務であると訴えてきた。地球温暖化の影響が顕著になるなか、ハード対策についても政府として今3カ年の緊急対策を進めているが、荒川の整備をみていても、とても3年で収まるものではなく、5年、10年のスパンで計画的に進めていく必要がある。また、昨年大阪市街を守った防潮水門等、戦後の度重なる災害をうけて、整備した多くの施設が更新期を迎えてくる。

国民の多くの方も雨の降り方が変わったと実感していると思う。科学者も温暖化の影響を具体的に指摘しており、あきらかにステージが変わっている。60年前、伊勢湾台風での大きな犠牲を教訓に防災対策を強化した。それから60年を迎える今年、防災・減災、老朽化対策、メンテナンスをさらに加速化し、防災・減災を社会の主流にして、国民の生命、財産を守り抜いていきたい。

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