政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.140 企業・家計・医療・災害へ全力支援!/感染症が突きつける文明的課題

2020年6月 5日

新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が5月25日、全国で解除された。「新型コロナの感染拡大阻止」が、全ての最重要課題であっただけに、節目であり、新たなステージへのスタートである。しかし、「緩み」は禁物だ。とくに東京。第二波・第三波への警戒、そのための行動変容、深刻な打撃を受けている企業・事業主への支援、家計支援、医療支援等に全力を上げる決意だ。

この新型コロナの影響は甚大かつ深刻だ。しかもその根は深く、人間存在そのもの、営々と築いてきた人類、そして文明への逆襲でもある。感染症との戦いは長い。それは人類の歴史そのものでもある。人類が森林を切り拓き、農業を開始する。動物を家畜化する。言葉を使い、人と人とが交流し、集落を作り、都市をつくる。山極寿一京都大総長は、人類は「言葉+身体の接触」で信頼の社会をつくってきたが、そもそも「地球はウイルスの惑星であり、人間が主人公ではない」ともいえると指摘し、「地球環境を壊すと、閉じ込められていたウイルスが飛び出す可能性がある」と警告する。つまり、「三密」を避け「節度ある社会・経済活動」という「行動変容」「新しい生活様式」というのは、人類の築いてきた「人と人とが言葉で結びつく社会」「文明」「グローバルに人や物が移動する社会」に対する根源的な問いかけを含んでいるということだ。しかも、「自然環境の破壊、温暖化」「人と物の動くグローバル化」のなかで、感染症のリスクはつい隣りまで迫り高まっている。21世紀に入ってからも2002年のSARS、2009年の新型インフルエンザ、2014年のエボラ出血熱、2012年と2015年のMERS、デング熱や麻疹(はしか)も記憶に新しいところだ。この新型コロナウイルスとの戦いも山中伸弥京大教授のいうように「長期にわたる戦い」であることを覚悟するとともに、他の感染症が迫っていることへの備えが必要だ。それを迎え撃つ体制を医療だけでなく、社会体制、生活様式など全てにわたって整えなくてはならないことになる。目の前の深刻な現実の課題と、長期の課題を凝視して、体制を整えることが今、世界レベルで重要となっている。

今回まとめた2020年度第二次補正予算案は、現在の「企業・事業主への支援」「家計支援(困窮学生を含む)」「医療・介護支援」等とともに、「長期戦を見据えた備え」に力を注ぐものとしている。長期戦を見据えたものとして「長期の劣後ローンなどの資本性資金や優先株取得を確保するための大規模なメニュー確保」「地方が現場の要請に応えられるよう地方創生臨時交付金の2兆円規模の大幅積み増し」「長期戦に臨機応変に応えられるよう予備費の思い切った積み増し」などが掲げられている。また現在、深刻な状況になっている企業・家計・医療等に対し、①持続化給付金を拡充し、フリーランスの多様な所得申告に対応した強化策 ②家賃支援をテナントへの給付金、地方創生臨時交付金からの家賃・協力金支援 ③児童扶養手当を受給するひとり親家庭へ臨時特別給付金 ④困窮学生への10万円支給(第一次補正での予備費)、学校再開へ1校当たり最大500万円交付 ⑤医療提供体制を強化するため緊急包括支援交付金を2兆9800億円に大幅増額 ⑥医療・介護従事者への応援金支給 ⑦文化・芸術関係者への団体・個人への支援 ⑧農業関係者への持続化補助金――などを行うこととしている。

また、「避難所の感染防止対策の強化」も入れている。これからいよいよ出水期、台風シーズンに入る。このなかで、今までの避難所ではまさに「三密」の危険にさらされる。コロナ禍の避難所は特別注意しなければならないと、私も強く主張してきた。ポイントは、従来の体育館などに密集しての避難は、感染拡大に直結してしまうということだ。まず、分散型避難とすること。①在宅避難(動かない避難も大切)②避難所避難③ホテル避難(町会の集会室、公営住宅の空室や企業の使用可能な会議室なども)④青空避難(熊本地震で行ったテント避難や車中避難)⑤縁故避難――などを工夫して組み合わせる。そのためには事前に、使用できる場所を連携・確保しておくことが大切になる。

とくに避難所避難では「三密」にならない工夫をする。広い体育館でもソーシャルディスタンスをとる。分散できる空教室を準備する。体育館等では床にはコロナが付着している危険があるので段ボールベッドを用意する。隣りとの間仕切りも付ける。入口では体温計を用意して全員の体温を測定する。マスク(持参が原則)、消毒液等を事前に準備する。高齢者や障がい者など"災害弱者"に配慮する。またコロナ禍の災害には、通常は大きな力になるボランティアもなかなか来れない。まさに市区町村のマニュアルを作り直し、事前に準備を今から取り組むことが急務である。それと当然ながら、レベルの上がっている最近の災害について、「ハザードマップ」「タイムライン」「マイタイムライン」の整備と住民への徹底は不可欠だ。市区町村に担っていただく訳だが、限界は当然ある。国が積極的に人的、物的支援を、押し付けないでバックアップするように急ぎ進めたい。

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