政治コラム 太田の政界ぶちかましCOLUMN

NO.148 東日本大震災10年、復興を更に!/「風評・風化」の2つの風と闘う

2021年3月 8日

1がんばろう石巻3.jpg2011年311日の東日本大震災から10年の節目を迎えた。M9.0、震度7、東北から関東にかけて震度6強から6弱を観測。死者19729人、行方不明2559人、住家の全壊121996棟、半壊282941棟。さらに地震・津波によって東電福島第一原発の事故が発生、生活も街も産業も壊滅的打撃を受けた。被災者にとっては、生涯消えることのない心奥までの深い傷を受け、原発では"内心被曝"に怯え続けた苦悩を何度も聞いた。「復興の闘いは更に続ける」「風評と風化の二つの風と闘い続ける」――この10年の節目に更なる決意が大事だと思う。地震・津波被災地域においては「復興の総仕上げの段階」、原子力災害被災地域では「復興・再生が本格的に始まった段階」と政府はとらえ、司令塔である復興庁を更に10年延長して全力で取り組んでいく。

力を入れるべき第一は「被災者支援」だ。発災直後に造られた応急仮設住宅への入居者は最大31.6万人に及んだが、災害公営住宅などの建設もあり、地震・津波被災地域においては今年度には仮設生活が解消される見込みだ。生活・住宅再建の進捗に伴う多様な課題に対応するため、相談支援、生きがいづくり等の心の復興、子ども達への就学・学習支援等のきめ細かな支援策、見守り・心身のケア支援、県外避難者支援等を「被災者支援総合交付金」を活用して行っていく。「きめ細かさ」と「切れ目のない」支援が大切となる。

2常磐道開通270301.jpg 3気仙沼カツオ.jpg

第二は「住まいとまちの復興」で、各インフラ整備が柱となる。私が国交大臣であった2012年末からの約3年、道路・鉄道・港湾、そして高台まちづくり、災害公営住宅建設に邁進した。常磐道が20153月に全通、安倍総理と共にテープカットに臨んだが、歓声とともに「早く4車線に」の声が上がった。これら沿岸部を縦断する復興道路はこの3月でほぼ全線開通し、常磐道4車線化の事業も始まった。横軸の復興支援道路も次々に開通している。3月を目指していた念願の福島・相馬道路は、今般の福島県沖地震の影響で開通時期がゴールデンウィーク前後にずれ込む見込みではあるものの、異例のスピードで完成する予定だ。被災した鉄道については、JR常磐線が昨年3月に全線開通、これによって東日本大震災によって被災した鉄道が全線開通(一部はBRT)となった。「あまちゃん」で有名となった三陸鉄道を開通させた式典にも参列したが、あの旗を振っての喜びは忘れることができない。災害公営住宅3万戸、高台移転による宅地造成1.8万戸の整備は昨年末に全て完了することができた。災害公営住宅では高齢者に配慮したバリアフリーや集会所などが工夫されている。「入札不調が多い」「生コンが足りない」「資材等が高騰している」「職人さんが集まらない」等々の苦難のなか、どれだけ多くの方々に頑張ってもらったか、有難いと心から思う。

4三陸鉄道 式典1.JPG第三は産業、なりわいの再生だ。生産設備は、ほぼ復旧し、岩手・宮城両県では製造品出荷額は130%の水準となっている。福島県は103%で、とくに農林水産業は回復が遅れている。原発の被災12市町村の営農再開面積は震災前の32% (令和元年)、風評の払拭も大事な課題だ。営農再開や、企業立地補助金を活用しての技術革新による新産業を支援することが、ますます重要となる。コロナ禍を克服して、観光が振興されることも、東北ではとくに期待される。インバウンドが伸びていただけに「コロナ」は復興・観光に大きな打撃を与えている。

第四は、福島の復興・再生だ。昨年3月に、帰還困難区域を除く全ての地域で避難指示が解除された。本格的な復興・再生の始まりだ。今後さらに、廃炉・汚染水対策や中間貯蔵の推進、避難指示が解除された区域の生活環境整備、特定復興再生拠点の整備、福島イノベーション・コースト構想の推進など、復興・再生の加速化に力を入れる。このように、10年の経過のなかで、さまざまな復興への動きがあり、今も引き続き総力を上げて取り組んでいく。

5津波被害現場 20110329②.jpgこの東日本大震災の10年の節目を期し、「第2期復興・創生期間」の10年が始まる。現場に寄り添い、東北の復興に全力をあげたい。213日夜、東日本大震災の余震とされるM7.3、福島・宮城で震度6強という大きな地震があった。今の日本で、地震は活動期にあることの警告ともいえよう。首都直下地震、東海・東南海・南海地震等への備えに全力を上げることが重要だと改めて思う。

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