入門ビットコインとブロックチェーン.jpg「インターネット以来の『革命』に乗り遅れるな」「IT革命は、ブロックチェーンによって完成される」「インターネットの世界では経済的な価値を簡単に送ることができなかった。そして真正性の証明ができなかった。このインターネットに欠けていた2つ(経済的な価値を送ること、信頼を確立すること)を我々はいま、ブロックチェーンによって手に入れようとしている」――。ビットコイン等の仮想通貨とその基礎技術であるブロックチェーンの世界は、インターネットの衝撃と同じくらいの重要性をもち社会を変える、という。そして、「人間の仕事の価値が高まる」「コンピュータが得意な仕事はAIやブロックチェーンに任せ、人間は人間にしかできないことをする」という世界が期待される。

ブロックチェーンは従来の集中型情報処理システムと異なり、事業でいえば経営者がいない「分散自律型組織(DAO)」で、管理者や経営者がおらず自動的に事業が実行される。「シェアリング・エコノミーには仲介者がいるが、それ自体が過渡的な仕組みで、サービスを提供する人と受けたい人が、ブロックチェーンで直接結びつく。そうなるとウーバーもAirbnbも不要となる」という。「ビットコイン型の仮想通貨が普及すると、従来の金融システムや国家システムの外で通貨が流通するようになる。すると、金融政策が効かないとか、税の徴収に支障が生ずるなどの問題も発生し、国家の構造にも影響を与える可能性がある」――。地殻変動をもたらす大変な時代が始まろうとしている。


ある男.jpg二歳の次男・遼を脳腫瘍で失い、そのことも因となって離婚、実家のある宮崎に長男・悠人とともに帰った里枝。ほどなく「谷口大祐」と再婚して、幸せな家庭を築いていた。ところがわずか3年9か月、物静かで優しい大祐が事故で死亡してしまう。しばらくしてその死を群馬・伊香保の兄・谷口恭一に伝えたところ、写真を見た兄からは「これは大祐ではない。全然別人」との衝撃的な事実を告げられる。里枝からこの「ある男」について相談を受けた弁護士の城戸章良は、真相に迫ろうと動く。

身許を隠さねばならない人間の境遇。無戸籍、戸籍交換。出自の業苦、そしてネット等に顕著な「なりすまし」・・・・・・。残酷な宿命を乗り越える家族の愛。心の奥底に迫るキメ細かな品のある文章が、何とも優しく浸み込んでくる。あの3年9か月がいかに幸福であったか、ずっと心に残る。


トレバーノア.jpg副題は「生まれたことが犯罪!?」。全米で人気の政治コメディ番組「ザ・ディリー・ショー」の司会を務めるトレバー・ノア。ユーモアによって新しい風を吹き込む存在といわれるトレバー・ノアは、アパルトヘイトの南アフリカで、「黒人の母と白人の父から生まれる」という"犯罪"から人生が始まったという。白人と黒人との差別以上に、カラードの矛盾がよりいっそう差別に拍車をかける。「自分が何者か」というアイデンティティにもかかわる問題でもある。壮絶な逆境、毛虫を食べるほどの極貧、全てを覆い尽くす差別と偏見、生き抜くための闇商売、父親からの暴力、荒涼たる人々の心と貧しい喧噪の街・・・・・。不条理きわまりない環境を、"佐賀のがばいばあちゃん"以上のユーモアと生命力で突っ切っていく母(かあさん)あればこそ、トレバー・ノアの今がある。「世間は守ってくれない。きつく叱ったり、たっぷり説教したりするのは、あんたを守ってやりたいから、愛しているから」「世界は好きなように生きられる」との母の愛のこもった声を全身で受けて活躍する彼の姿は、弱き生命力の時代と化した近代社会に、骨太の"笑い"の力を叩き込んで来る。たくましい。


明治の革新者.jpg「ロマン的魂と商業」が副題。仏文学者の鹿島茂さんの「悪の箴言(マクシム)」を読んだあとだけに、本書に驚いたが、「じつは、創業者や企業家の自伝や伝記を読むのが大好きで、・・・・・・明治・大正期の創業者列伝も書いている」「『破天荒に生きる』『大衆をつかんだ実業家』『名経営者 人を奮い立たせる言葉』の著書・著作を加筆・修正したもの」と知って、納得した。実に面白い。そして明治のリーダーの破天荒、波瀾万丈、猛烈、パッション、ロマンチシズム、すさまじいエネルギーに改めて感心した。

高島嘉右衛門、浅野総一郎、雨宮敬次郎、根津嘉一郎、福沢桃介、松永安左ヱ門から小林一三、鮎川義介、野間清治に至るまで、近代国家・日本の礎を築いた25人の実業家たちの物語。「明治・大正の巧成り名を遂げた実業家たちの伝記をひもといていくと、心に『浪漫的な冒険』の精神と『詩』を抱えた人物でないかぎり、語の正しい意味での革新者(イノベーター)たりえないことがわかってきた」「その強欲さ、猛烈さにおいて、一種のロマンチシズムを有していない人物でないと、実業家としては成功しえない」という。


天子蒙塵 4.jpg1931年9月、満洲事変が勃発。翌32年3月1日、満洲国の建国が宣言され、執政にラストエンペラー・溥儀が就き、「王道楽土」「五族協和」が謳われる。34年3月1日、溥儀が帝位に就き、満洲国は満洲帝国となる。青空の下で挙行された式典に至るまでの激動、争覇の2年間。日本と中国、そのなかで各人の思惑は異なり、絡み合う。

大清の復辟だと信じて即位する溥儀は、「祖宗の地たる満洲において足元を固め、いつか長城を越えて喪われた紫禁城を取り返し、太和殿の龍陛を昇って王座に就く」と志す。側につく梁文秀や李春雲等々。欧州から帰還した満洲の覇者・張作霖の息子・張学良は「漢卿、中国には君が必要なのだ」「30万の東北軍を」との声を受け、襲う刺客を葬っていく。蒋介石の思惑、周恩来の思考、そして日本では満洲国建国を推進した石原莞爾、その関東軍とは異なる見解をもつ永田鉄山の信念と現実的判断等々が、生々しく描かれる。そして時代の濁流のなか騒然たる世相も。

「第1部蒼穹の昴」から始まったシリーズ。「珍妃の井戸」「中原の虹」「マンチュリアン・リポート」に続いて「第5部天子蒙塵」が、これで完結する。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任、公明党前代表。前国土交通大臣、前水循環担当大臣。

現在、衆議院議員、党全国議員団会議議長、東京第12総支部長、首都直下地震対策本部総合本部長、現代中国研究会顧問など。

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