20120601世界経済の大潮流.jpg世界経済の大潮流というのは、400年に1度の歴史の峠に立つという現状認識、資本主義そのものの大転換、陸の時代から「海の時代(英)」や「海と空の時代(米)」へと移った世界が今、終焉に向かっているという巨視的認識からだ。水野さんが「超マクロ展望 世界経済の真実」や、昨年の力作「終わりなき危機 君はグローバリゼーションの真実を見たか」でも熱く語ってくれているとおりだ。

歴史の断絶を革命というならば、現代には4つの革命が起きている。「利子率革命(長い2%以下の低金利)」「貨幣革命(編み出された金融・レバレッジ空間)」「価格革命(従来にない原油など基礎的資源の非連続的高騰)」「賃金革命(交易条件の悪化から企業が労働者の所得下げを余儀なくされ、中間層が崩落)」だ。

これは近代の終焉であり、それは9.11米国の同時多発テロ、リーマン・ショック、3.11福島原発事故などに鋭角的に現われた。膨張、成長、過剰、蒐集(コレクション)――有限に突きあたってもなお人工的な無限をつくろうとする人間は、そうして未来をも収奪しようとする。もはや成長を前提とした経済社会を考えることは難しいし、あまりに無理をしすぎている。水野さんは「(中央/地方)という枠組みを見直して、地域を拠点にして、できるだけ自己完結型で定常社会を前提とする新しい社会モデルを模索せよ」という。


20120529お言葉ですが・・・別巻1.jpg「お言葉ですが・・・」に書かれているものは、素晴らしいし、すごい。1つの言葉、1つの漢字、1つの物語を、これほどまで詰めて考える人に会ったことがない。本書の「水五訓」「むかしの日本のいくさ馬」「向田邦子の強情」「冥福」「新聞の文章」・・・・・・。うなってしまうほどの内容だ。

教科書について「言ってみれば宿屋の料理だね。何でもあるが、全部食えといわれたらうんざり・・・・・・」とか、「たくさん本が出ると言っても、思わず脱帽する、というほど立派な本はそうめったにあるものじゃない。・・・・・・本というものは、不出来のほうが多いにきまっている」など、笑いが込みあげたりもする。


遺伝子はダメなあなたを愛してる.jpg生物学者・福岡伸一さんに、生活の折りおりにふと浮かぶ疑問に答えてもらう、それが本書。面白い。面白いのは社会でも政治でもなく、やはり「人」であり、動物であり、樹木や植物であり、鳥であり、虫等々、そして身体、食事、健康・・・・・・。生きる物自体が不思議であり、面白いということだ。それによって人生は豊かになっているが、その自然の細部を知らないまま毎日を過ごしている。もったいない。面白いのに・・・・・・。

「生命は巧妙な生存戦略や繁殖方法を編み出している」「生命は動的平衡」「自然の均衡」「あらゆることを遺伝子の多目的性から説明すると・・・・・・・無理や議論や作り話になってしまいがちで、生命が本来的にもつ自由度が見失われるのではないか。生命のありようは、しばしば環境に対して中立的であり、ある種の寛容性、許容性を持っていると思う」――遺伝子決定論でない。ハズレたりアブレたりしている現実。だからこそ福岡さんは興味がわき、その興味と面白さが読む者に伝染する。

「お餅のカビは食べても大丈夫?」「スッポンを食べたらコラーゲンで肌がつやつやになるって本当?」――などという日常生活のことに答えてくれている。何気ない生活が、広く豊かにふくらむ。


20120524防災.jpg私、そして公明党は今、「防災・減災ニューディール」の実行を訴えています。

橋や道路などのインフラは防災・減災の基盤ですが、現在、全国で老朽化が進んでいます。この整備に集中投資することで、景気回復と雇用創出につなげ、防災力の強化と経済の活性化の両方を実現するというのが「防災・減災ニューディール」です。

この防災・減災ニューディールに関連し、私は昨日23日、首都高速1号羽田線の芝浦地域で行われている、耐震補強工事の現場を視察してまいりました。

現在、首都高速では、阪神・淡路大震災クラス(最大震度7)の地震にも耐えられるよう、補強工事が実施されています。橋脚は、鋼板を外側から巻き付けたり、内部から補強部材を増設するなどして補強。橋桁を支える台座をゴム製に取り替えるなど、大きな揺れがあっても免震構造のように橋の上部が水平に移動して、橋が落ちないようにする対策も施されています。

こうした工事を、私も橋桁の直下まで行って、直接この目で見てまいりました。首都高速の全路線について、本年度中の工事完了を目指しています。

思えば阪神・淡路大震災の時、高速道路が無惨にも崩れ落ち、横倒しになった光景は、あまりに衝撃的でした。

私は耐震工学を研究してきた政治家として、以来、高速道路の耐震化を折に触れ求めてまいりました。2003年6月4日には衆院国土交通委員会で、高速道路の耐震化工事について状況を追及。05年2月10日には衆院予算委員会で、首都直下地震対策に関連して、高速道路の耐震強化を要請しました。

実は、当時から私が最も心配していたのは、橋桁を支える台座部分(橋脚と橋桁の接点=支承部分)です。それが今回の視察で、耐震改修が進んでいることを確認できました。

この1号羽田線は建設から50年。首都高速道路全体でも、半分近い区間で建設から30年以上が経過し、老朽化が進んでいます。その大規模な改修工事のあり方について、現在、検討が進められているところです。

もちろん、ムダな公共事業は削るべきです。しかし、「公共事業=悪」ではありません。命を守り、都市を守り、生活を守る公共事業は、日本の底力に直結します。着実に、かつ大胆に、推進すべきです。

復興元年の本年は、新たな安全国家・日本を築く、本格的な取り組みをスタートする年に──。この自覚と気概が、勢いある日本を力強く再建する出発点だと思います。皆さまのご期待にお応えできるよう、さらに頑張ってまいります。

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20120522政治家だけに日本をまかせるな.jpg宮澤退陣で55年体制に幕が引かれた後、政治は明らかに変調をきたしている。とくに昨年来の東日本大震災、菅政権、野田政権――。政権を担当する首相、まして政権党、政治家全体から国を運営し、国民の生活を守るプロあるいはプロ集団の臭いが次第に薄れてきている。ノンプロ劇団の芝居のように映る、と岩見さんはいう。国を背負う「決死の覚悟」が欠けている。かつて政界にいた憂国の士がいない。器用だが、腰の座っていない政治家が増えている。言葉の軽さは目を覆うばかりだ。

「政治家はポピュリズムに流されず、有権者は政治家の選別眼をしっかり身につけよう」――。この危機に対してはまず政治からだ。だからこそ政治家を厳選する気風と習慣を早く身につけようという。

岩見さんの切れ味はカミソリというよりもズシッとしたナタのようだ。それでいて岩見さんの言葉には、人物を包み込む温かさを私はいつも感じる。「最近は毎週書く数本の私のコラムに批判の投稿が増えている」と書かれているが、ズバッというからだろうが、それにしても温かさが感じとれないゆえなのか。閉塞感漂うゆえなのか。「近聞遠見」「サンデー時評」――毎週読んでいる。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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