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8日、公明党の議員経験者で構成される「大光会」の北海道研修会が札幌市内で開催され、出席しました。北海道は広いこともあり、気候不順も重なって、札幌周辺の参加となりましたが、遠距離にもかかわらず参加した方もおり感動しました。4月には統一地方選もあり、それぞれの地域で良い働きをしている状況の報告が相次ぎました。また今年、大光会に新しく入った方々も多く参加し、新しい気持ちで地域活動に頑張る決意が述べられました。私は、議員の経験を生かし、「大衆とともに語り 大衆とともに戦い 大衆の中に死んでいく」の立党精神は生涯のものであることを互いに誓い、励まし合い、身体に気をつけて頑張っていこうと呼びかけました。「共戦の友」との良い語らいの集いとなったと思います。


osagasimonoha.jpg仕事にも行き詰まり、意欲が出ず閉塞感を抱えている5人それぞれが町の図書館を訪れる。そこにいた司書さんは、体が大きくユニークな経験豊かな女性の小町さん。気の利いた本を紹介してくれるとともに、「本の付録です」とかわいい羊毛フェルトをくれる。それを機に、人生の行き詰まりがほどけていく。「小町さんは、まっすぐにわたしを見た。『でもね、私が何かわかっているわけでも、与えているわけでもない。皆さん、私が差し上げた付録の意味をご自身で探し当てるんです。本もそうなの。作り手の狙いとは、関係のないところで、そこに書かれたいくばくかの言葉を読んだ人が、自分自身に紐づけてその人だけが何かを得るんです』」・・・・・・。自分を変えることができるのは自分が変わること。気づくこと。人も物も本も良い縁に出会うこと。極めて自然に温かく優しく描かれる。

「朋香 21歳 婦人服販売員」「諒 35歳 家具メーカー経理部」「夏美 40歳 元雑誌編集者」「浩弥 30歳 ニート」「正雄  65歳 定年退職」の5人それぞれ。定年となった男性や、共働き夫婦の子育てにおける夫と妻それぞれの戸惑いと迷い等、あまりにもよくわかる。


syosetudeyomitoku.jpg「神武東遷、大悪の王、最後の女帝まで」が副題。周防柳さんの「蘇我の娘の古事記」は、大変面白かったが、本書は、資料にも乏しく謎だらけの古代史、23世紀の邪馬台国の頃から、8世紀の平城京の頃までに焦点を当てる。学術書とは違って、名だたる小説家が想像の翼を広げ、新鮮な切り口や発想で描きあげた小説を紹介しながら「古代史」を眼前に見せてくれる。曖昧なものはそのままに、くっきりしたものはくっきり、権力闘争する人物も善悪こもごもそれぞれに。極めて面白く、古代史を俯瞰できる。素晴らしい。

「邪馬台国はニつあったか――大和と筑紫の女王卑弥呼(小説の世界では、邪馬台国九州説が圧倒的に優勢だが、同時期の大和にもそこそこの大きな勢力ができていたのではないかと想像する)」「神武は何度東遷したか――記紀神話と初期大和政権(邪馬台国から三輪王朝へ、出雲と大和の因縁の関係、繰り返される神武東遷、英雄ヤマトタケルの物語)」「応神天皇はどこから来たか――河内王朝と朝鮮半島(河内王朝は15代応神天皇から25代武烈天皇の6世紀初頭までの100年余り、朝鮮半島ヘ外征したという神功皇后とは何者か、多かった渡来人とDNA研究、大悪の王ワカタケル)」「大王アメタリシヒコとは何者かーー馬子と推古と厩戸皇子(継体から欽明へそして蘇我氏登場、崇仏派・蘇我馬子と廃仏派・物部守屋の対立、馬子が満を持して誕生させた23代推古女帝、仏教おたくの引きこもり厩戸皇子)

「天智と天武は兄弟か――対立から見た白村江、壬申の乱(乙巳の変と大化の改新、蘇我入鹿を倒した中大兄皇子と腹心・中臣鎌足、弟の大海人皇子との確執、額田王をめぐる三角関係、白村江の戦いとは人さらい戦争)」――中大兄皇子寄りの小説と大海人皇子寄りの小説が紹介され、そこに権力闘争と渡来人との関係がかぶさり、きわめて立体的で面白い。井上靖、井沢元彦、周防柳さん自身、荒山徹、澤田瞳子、豊田有恒、黒岩重吾などのそうそうたるメンバーがそれぞれの小説を叩きつけている熱量がすごい。「カリスマ持統女帝の狙いは何か――藤原不比等と女帝たちの世紀(天武天皇亡き後を継いだ持統女帝から奈良時代末までの100年、律令制が完成し、中央集権体制が実現し、天武天皇の血統が守られた女帝の多い100年だった)(蘇我系女帝たちの格闘、中臣鎌足の子の不比等に始まる藤原氏の台頭、藤原氏が誕生させた聖武天皇と妻・光明皇后、その一人娘・孝謙天皇=称徳天皇と弓削道鏡事件、その騒動によって女帝の時代は終わる)

資料なき謎多き古代史に挑む小説家の熱量の凄さ。箒木蓬生、松本清張、梅原猛、内田康夫、邦光史郎、安彦良和、黒岩重吾、池澤夏樹、上垣外健一、永井路子、杉本苑子、玉岡かおる。その他にもすごいメンバーが真実に挑みつつ、ロマンを膨らませてくれている。


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関東大震災から100年――。83日、大規模な首都直下地震対応訓練が東京臨海広域防災公園で行われました。国土交通省関東地方整備局が中心となり、東京都、東日本高速道路・中日本高速道路・首都高速道路の各企業、警視庁、陸上自衛隊、東京消防庁、東電パワーグリッド、KDDINTT、楽天モバイル、全日本レッカー協会、日建連関東支部、災害協定会社等が参加する大規模なものです。

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首都直下地震は、30年間で70%の可能性と言われており、切迫しています。建物の倒壊、火災への警戒が重要ですが、災害発生時のグリッドロック(車などが全く動かない)、都市全体のマヒ、約500万人といわれる帰宅困難者への対応、通信障害、電気・水の緊要性等は、他の大震災とは全く違う様相となり、防災訓練も特別な体制が必要です。電気がなければビルでは水も出ない、スマホがなければどうしていいか分からなくなる現代人。救命救急は特別なものになります。

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この日の訓練は、これらを踏まえたもの。道路啓開の8方向作戦の実効性を高めるため、ヘリやドローン、管理カメラ映像のリアルタイム配信、通信事業者による移動基地局車の設置、電力事業者による倒壊電柱・電線の除却。徹底した訓練となりました。猛暑の中での訓練でもあり、停電が例えば2日も続けば、大変な事態になることを実感する日でもありました。私はこの10年、首都直下地震への備えを重視して動いています。この日の訓練は「連携・実践・わがこと化」をテーマにしており、それを具現化するための極めて大事な訓練となりました。関係の方々に心から感謝いたします。


ongakutoseimei.jpg今年3月亡くなった坂本龍一さんと「動的平衡」の福岡伸一さんとの対談。「生命とは何か」「音楽とは何か」をめぐる対談だが、大変噛み合ったいい対談になっている。軸となっているのは「ロゴスv sピュシス」の相剋であり、「世界をどのように記述すれば良いのか」との問いだ。科学は、生命を要素還元主義的に解析し、ロゴス化される。時間は止まり、動的な生命は、失われる。音楽も音符はアルゴリズムとなり、音は電子音楽などデジタル化されロゴス化していく。秩序は美しさと安定をもたらすが、豊かな自然(ピュシス)はロゴス化によって侵食され削られていく。二人は、ロゴスに偏りすぎた世界の歪みに目を向け、自然の豊かさを回復するための新たな思想を求め共鳴板を鳴らす。

坂本龍一さんは、「若い頃は、無機質な音楽がすごく好きで、無機質でない音楽を作るのはすごく難しかった。メロディーというものは、あくまで12音階の順列組み合わせで、作曲するということはその組み合わせをどう作っていくかということだと考えていた」と言い、「YMOをやるようになってから、だんだんと考え方が変わり、音を操るということをしない音楽があるんじゃないかということを感じだした。それで今は、ピュシスとしての脳を持ち、非線形的で、時間軸がなく、順序が管理されていない音楽というものを作れないかと考え続けている」「科学は何度繰り返しても、同じ結果が得られる、つまり再現性に価値を置く。音楽はそれとは反対。1回しか起こらないというところにベンヤミンがいう『アウラ(オーラ)』があり、そこに価値がある」「今でもそういうノイズのないシンプルな美しさが皆、好きだ。つるつるででこぼこしていないほど賛嘆されるし、建築もまっすぐなものが美しいと言われる。ノイズが排除されるが、ジョン・ケージという素晴らしい作曲家が、図ばかりを取り出すのではなくて地、ノイズを聞いてみようという挑戦を始めた」「僕たち人間は、進化の過程で、自然現象を丸ごと受け取ることがしにくい鈍感な動物になってしまっている。一番身近な自然は海や山ではなくて、自分自身の身体なんです」「言葉で言い表わせない世界があるから音楽をやっているわけだ」「地球という惑星には、空気の振動つまり音という現象が常に起こっている。誰かが聞いて、その振動を共有する空間や時間があるということを音楽と言っているんだと思う」と語る。音と曲について、あくなき求道、挑戦の姿を感ずる。

福岡伸一さんは、「操作的に生命を扱い、生物学ではなく、死物学を極めようとしていた。ゲノムはマッピングされ、遺伝子は名づけられ、全てが情報としてデータベース化された。生命は完全にロゴス化された。その時点で時間は止まり、動的な生命は失われた。ピュシスの本体はスルリとどこかへぬけだしていた。私は生命を動的平衡として捉え直すために再出発した」と語る。「ファーブルは、『あなた方は研究室で虫を拷問にかけ、細切れにしておられるが、私は青空の下で、蝉の歌を聴きながら観察している』と言っている。動的平衡、つまり、生命が全体としてのバランスを保つ機能というものを、もう少し精密に考えようと思うようになった」「生命の動的平衡とは、絶え間のない合成と分解を行うことですが、そこでは合成、つまり作ることよりも分解、壊すことの方を絶えず優先しています」と語り、ベルクソンの「創造的進化」、シュレーディンガーの「負エントロピー」に触れ、生命が常に合成と分解をすることによって成り立っているというモデルを考え、この動的円弧を「ベルクソンの弧」と名付けたことを紹介する。

「円環する音楽、循環する生命」――。「音楽の円環というものは、楽譜を書く人、演奏する人、聞く人がいて、初めて成り立つわけで、ずいぶん時間がかかりましたが、そんな当たり前のことにやっと気がつくことができたんですね」と言う。そして「ピュシスの実態は、ロゴスの極限にまでたどりつかないと見えにくいものです」「有限であるからこそいのちは輝く」と福岡さんは語っている。

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プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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